1992年に世界文化遺産に登録された兵庫県の「姫路城」。現在世界遺産登録を目指している滋賀県の「彦根城」。ともに天守が国宝指定されており(国宝指定されている天守は日本で5城のみ。他は犬山城、松本城、松江城、重要文化財、特別史跡、日本100名城にも指定されている日本を代表する城です。外国の方に「日本のお城を見るならどこがおすすめ?」と聞かれたなら、まずこの2つを挙げるのが良いでしょう。
今回は「姫路城」と「彦根城」の魅力と、旅をする場合の楽しみを次の3つのポイントで比較して紹介します。
目次
それぞれのお城の特徴や歴史は?
世界遺産(世界遺産候補)として評価されているポイントは?
それぞれのお城の特徴や歴史は?
■姫路城
<特徴>
姫路城は、白鷺(しらさぎ)が羽を広げたような姿から「白鷺城」の愛称で親しまれており、鮮やかな白の城壁が特徴です。
<天守について>
天守は「大坂の陣」の5年前の1609年に建築されたもので、400年以上経過した今も美しい姿を残しています。姫路城の歴史は古く1333年が起源といわれています。戦国時代には黒田官兵衛、羽柴秀吉(豊臣秀吉)、池田輝政、本田忠政などそうそうたる武将の居城となりました。
<面積・高さ・印象>
姫路城の面積は230ha(70万7千坪)と広大です。天守は高さ約31.5メートル6階建てになっていて、かなり登り甲斐があります。筆者が姫路城をはじめて見たときの印象は「荘厳」でした。大きさといい、美しさといいまさに日本が世界に誇る文化財です。
<アクセス>
姫路城は新幹線が止まるJR「姫路駅」から徒歩約20分(バスも出ています)。最寄駅に新幹線が止まるので、日本で最もアクセスしやすい世界遺産と言えるでしょう。
■彦根城
<特徴>
一方の彦根城は1622年に完成した井伊家の居城です。大河ドラマで話題になった女城主・井伊直虎(いいなおとら)の子孫が代々受け継いだ城で、明治維新の前に桜田門外の変で斃れた井伊直弼(いいなおすけ)も彦根城の城主でした。
<面積・高さ・印象>
彦根城の面積は姫路城と比べると小さく、天守の高さも約17メートル3階建です。しかし、琵琶湖に面したロケーションと美しいフォルムを愛する人が多く、筆者がはじめて見たときの印象は「粋(いき)」でした。規模は小さいながらも「わびさび」を感じさせる日本の「美」を持つ城です。「自分が武士だったらこんな城で働いてみたいな」と思いました。
<アクセス>
彦根城はJR「彦根駅」から徒歩約15分。新幹線の止まる米原駅から彦根駅は5分なのでこちらもアクセスが良い世界遺産です。
世界遺産(世界遺産候補)として評価されているポイントは?
■姫路城
姫路城は1992年にコロンビアで開催された第17回世界遺産委員会にて、「法隆寺地域の仏教建造物」とともに日本で初めて世界文化遺産に登録されました。評価されたポイントは次の2点です。
(1)美的完成度が日本の木造建築の最高位にあり、世界的にも優れたものであること。
(2)城建築の最盛期である戦国時代に作られた天守や櫓、門、土塀、石垣、堀などが良好に保存され、日本独自の城の構造を最もよく示していること。
世界遺産の評価基準である、いつの時代の誰にとっても素晴らしい【普遍的価値】があると認められたのです。

■彦根城
彦根城は1992年、姫路城同様に日本を代表する文化遺産として文化庁が定める世界遺産「暫定リスト」に登録されました。世界遺産に登録されるには、まず国別の「暫定リスト」に登録される必要があり、国はその中から年度の推薦物件を選定します。推薦された物件はユネスコの審査を経て、世界遺産委員会で登録可否を検討されます。
彦根城も姫路城と同様に歴史のある日本を代表する城であり、見るものを惹きつける独特の魅力があります。しかしすでに姫路城が世界遺産となっていますので、彦根城は姫路城にない【普遍的価値】を明らかにする必要があるため、いまのところ推薦まで進んでいません。
姫路城は天守や櫓・門のほかに、御殿、藩校、侍屋敷、足軽屋敷、町家といった城の構成要素のすべてが日本で唯一江戸時代の姿を残しながら揃っているといいます。このような価値が評価され、世界遺産に推薦される日が早く来てほしいと思います。
