こんにちは医師&医療経済ジャーナリストの森田です。

ネットで検索していたら興味深い記事を見つけましたので今回はこちらをご紹介します。

2020年4月、岩田健太郎先生の記事です(岩田先生がダイヤモンド・プリンセス号の内部暴露で注目を浴びた2ヶ月後です)。

タイトルはあれですが一部示唆深いことを言われてます。

曰く、

2009年にはやった新型インフルエンザは、いまだに毎年、患者を出しています。第2波、第3波どころか、第11波とか、そんな状況ですよね。新型インフルエンザは幸い、大した病気ではなかったので注目されなくなって、第○波などと誰も言わないですが、何度でも波が来る。パンデミックとは、そういうことなんです。

とのこと。

そうなのです。実は2009年の「新型インフルエンザ」、あの時は日本中大騒ぎでした。でも、それ以来とんと耳にしない・・・なので新型インフルエンザはあの年だけの流行で、翌年以降は旧来の普通のインフルエンザが流行している、と思われている方が多いと思うのですが。実は全く違って、2010年も2011年も、新型インフルエンザはあれ以来ずっと毎年流行しているんですね。

変わったのはウイルスの方ではなく、「我々の認識(ウイルスに対する恐怖感が薄れただけ)」だったのです。

ではなぜ我々の認識がガラッと変わったのか?

岩田先生曰く

「(新型インフルエンザは)大した病気じゃなかったので注目されなくなった」

とのことです。

まあ、日本中で恐怖した新型インフルが、旧来のインフルエンザと大して変わらない被害しか出さなかったのであれば、翌年から「ふ〜ん、で?」と言う反応になるのは当然のことですよね。

「コロナは大した病気ではなかった」と我々はいつ気付くべきだったのか
(画像=Nuthawut Somsuk/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

では、新型コロナについてはどうでしょうか?

実は日本における「新型コロナの死者数」は従来のインフルエンザと比べてそんなに変わりません。

新型コロナがこの2年半で約3万人の死亡者を出したのに対して、インフルエンザは毎年3000人から1万人の死者を出しているのです。

注意してほしいのは、新型コロナの診断には御存知の通りPCR検査が使われますが、これまでのインフルエンザではPCR検査ではなく「抗原検査」という、PCRよりずっと感度の低い検査を行ってきたということです。

PCRという検査方法は今回のコロナで初めて大々的に使用されるようになった非常に新しい技術です。鼻の粘膜にちょっとウイルスが付着していた程度(感染とは程遠い状態)でも陽性反応が出てしまうほど、感度の高い検査なのですね。だから患者数も死者数も従来の検査方法よりかなり多めに出てしまいます(今回のPCR検査が陽性になってもそれは付着ウイルスに過ぎずその人が感染しているとは限らないので、「感染者」ではなく「検査陽性者」という表現が使われています)。

また、厚生労働省は死亡者のPCR検査が陽性の場合は死因を問わずすべて「新型コロナ死亡」として届け出るように通達を出しています。ひどい例では、交通事故死した患者さんが、PCR検査で陽性だったので「コロナ死」として計上された例もあります(院内クラスター対策のため、救急車で病院に搬送される時は全例PCR検査が行われます)。

つまり、様々な条件から新型コロナの死亡数は「多めに計上されている」と言うことです。従来の計上方法よりかなり多めに計上されていながら、2年半で3万人。

毎年3000人から1万人の死者を出している従来のインフルエンザと比較して「大した病気」と言えるでしょうか?

もっと言えば、肺炎でなくなる方は毎年約10万人です。特に2016年は肺炎死が例年より2万人多く、12万人でした。

では、2万人も肺炎死が増えたことに我々は気づいていたでしょうか? 殆どの日本人が関心すらなかったと思います。

そういう意味では、多めに計上されて2年半で3万人の新型コロナの死亡数は「最初から大した病気ではなかった」とすら言えるのではないかと思います。

では、我々はいつそれに気づくべきだったのでしょうか?

新型インフルの大騒動を、我々は1年で忘れ去りました。

いま全国の新規陽性者数が過去最多の20万人を超えたとはいえ、東京都1400万人の中で重症者はわずか14名、ECMO使用者にいたってはたったの1名です。そう、BA.5の弱毒化は顕著なのです。

ではなぜあの時と違って日本人は、コロナの弱毒化が著しい3年目でも大騒ぎなのでしょうか?

あの時と違うのは「検査方法」です。

PCRという「感度が高すぎて感染していない付着ウイルス」も拾ってしまう新しい検査のおかげで、コロナウイルスは過剰に我々の前で「見える化」されてしまいました。

それによって日本人に必要以上の恐怖感を植え付けてしまったのは間違いないところでしょう。

とは言え・・・世界に目を向ければ、そんなことを言っていられません。アメリカもフランスもイギリスも、世界の先進各国はもうすでにコロナ禍を卒業しつつあります。

イギリスではPCR検査での陽性者カウントをしなくなっていますし、フランスではマスク義務が撤廃されています。アメリカは各州様々ですが、メジャーリーグのオールスター戦では、観客の殆どがノーマスク、もちろん密集状態でした。あ、イギリスのウインブルドンも、世界陸上も観客はほとんどノーマスクでしたね。

そう、先進各国はすでに「コロナは終了」しているのです。

こちらのグラフを見てください。

これは英米と比較したときのアジア各国の新型コロナ死者数(この2年半の累積死者数の推移)です。

「コロナは大した病気ではなかった」と我々はいつ気付くべきだったのか
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

こうしてみると、アジア各国は「第1波すら来ていなかった」と言えるかもしれません。

少なくともコロナ禍始まって1年後くらいにはこの差に注目が集まって、「コロナは実は大した病気ではなかった」と気づいても良かったのではいか?とも思えてきます。

まぁ1年後は少し早いかもしれませんが、少なくとも新型コロナの弱毒化が著しく顕著になった今、今まで通り呑気に「緊急事態宣言を出して!」と叫び続けて良いものではないでしょう。それによって日本の経済や国力、子どもたちの教育、国民の精神状況は、壊滅的な被害を受けるのですから。

たしかに第7波で大騒ぎの今の日本で、こんなことを言うのは気がひけるかもしれません。しかし、先進各国はどんどん前に進んでいます。

日本だけがこの事実に目を背けて、形ばかりの感染対策で経済も国力も停滞させ、子ども達の成長機会を奪い、国民の自殺数を増やしてしまうのは、すでに犯罪的ですらあると思います。

勇気を出して、

「コロナは大した病気ではなかった」

少なくとも

「コロナは大した病気ではなくなった」

と一人ひとりが声を出しましょう。

そうでなければ、我々はこの状況から抜け出せないのかもしれないのですから。

文・森田 洋之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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