「パブリック空間」を可視化するソフトウェア

人々の交流が生まれやすい「パブリック空間」を定量化するため、研究チームは「凸空間」に着目しました。

凸空間とは、下画像の左に表される「誰もが視認でき対等な関係を築くことができる領域」のことです。

(左)凸空間の例、(右)凸空間でない例
Credit:本間 裕大(東京大学)_人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――(2022)

当然ながら、凸空間の形状は「人が立つ地点:A~E」をどこに置くかで大きく変わってきます。

1つのデザインでも何万~何十万通りもの凸空間パターンがあるのです。

新しく開発されたソフトウェア「Convex Space Visualizer」は、入力された図形内のあらゆる凸空間を数秒~1分未満で全列挙できます。

ソフトウェアの分析プロセス
Credit:本間 裕大(東京大学)_人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――(2022)

そして、それら凸空間の重なりをグラデーションで視覚的に表現。

これにより、入力された図形(デザイン)の「パブリック空間」が定量的に表されます。

グラデーションが濃ければ濃いほど、その場所は人々が交流しやすい「ホットスポット」だと言えるのです。

さまざまな出力例(上)と最適空間提示の例(下)
Credit:本間 裕大(東京大学)_人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――(2022)

このソフトを利用すれば、デザイナーとユーザーの間で「パブリックとプライベート」についての共通理解が得られやすいでしょう。

すぐに結果がでるため、「別のデザインだとどうなるのか」「このデザインであれば、ベンチはどこにおけるのか」などと協議するのに役立ちます。

現在、開発されたソフトウェアConvex Space Visualizerは、開発プラットフォーム「GitHub」にて無償公開されており、一般ユーザーでも気軽に利用できるようになっています。

参考文献

人々の交流が生まれるホットスポットをリアルタイムで可視化――ユーザーとデザイナーが協働しやすい空間設計ソフトウェアを無償公開――

元論文

凸空間の列挙による建築空間の形態分析