講談社より特撮写真集『HERO 大島康嗣の仕事』が10月31日(月)に発売される。

特撮作品の現場を55年間取材撮影し続けたスチールカメラマン、大島康嗣氏の集大成といえる写真集の完成だ。

驚きと感動を与える特撮写真集『HERO 大島康嗣の仕事』

雑誌のために現場に張り付いて、特撮作品の写真を撮る。仮面ライダーやウルトラマン、スーパー戦隊シリーズの現場では今や普通の光景になっているが、それを始めたパイオニアカメラマンがいる。

大島康嗣氏

大島康嗣氏

大島康嗣氏は、1964年に講談社写真部のカメラマンとなり、『週刊少年マガジン』のグラビア特集の撮影を担当。当時グラビア記事構成を担当していた大伴昌司氏からの信頼も厚かった。並行して特撮作品『丸出だめ夫』『ウルトラQ』などの現場取材撮影をスタートし、1971年『仮面ライダー』の人気から創刊された幼年雑誌『テレビマガジン』で掲載された特撮作品のほぼすべてを同氏が撮影した。

2019年放送の令和の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』まで55年間、仮面ライダーシリーズを中心に、188作品のキャラクターを被写体にシャッターを押し続けた。

特撮キャラクターと向かい合ってきた大島康嗣氏

取材撮影をはじめて間もないころ、現場に「邪魔だ!」と言われていたところから、制作サイドとの人間関係を作りあげ、信頼を勝ちとって、撮影をしてきた大島氏の写真は膨大な数で、数えきれない。

※中面12~13ページ 第2回撮影会 アクターの古谷敏氏にお願いをしてたくさんのポーズを撮影した

※中面12~13ページ 第2回撮影会 アクターの古谷敏氏にお願いをしてたくさんのポーズを撮影した

当時、雑誌で使用する写真は、データのように複製することがかなわなかった。そのため多くの雑誌に掲載するには、キャラクターの同じポーズのポジが必要だった。現場のために早く、そして雑誌のためにたくさん撮影するべく、フィルムを海外から取り寄せ、改造したこともあったという。

雑誌の写真のために発明までする仕事人・大島康嗣氏の残した写真は今、講談社の宝である。

講談社の所蔵する写真のなかで、雑誌で使われた写真もあれば、雑誌の読者層にあわなくて使われなかった写真もある。ただ、大島氏はカメラでキャラクターの生き生きとした動きを追い、それを「獲物」と呼んだ。「獲物」を捕らえた写真は、どのカットも、そのとき、そこにヒーローがいるのだ、と雄弁に語る。

今回の写真集は、大島康嗣氏が特撮のキャラクターと向かい合ってきた臨場感と55年の歴史をテーマに、どんな距離でどんな体勢でどのようにシャッターを押したのか、想像をしながら1枚1枚見られるように工夫した。巻末には、1087枚の写真すべてに同氏のコメントを掲載。

※中面124~125ページ 左ページ右上の写真は藤岡弘、氏本人がアクションをしていた

※中面124~125ページ 左ページ右上の写真は藤岡弘、氏本人がアクションをしていた

子どもだったころ、夢中になっていたあのヒーローは、このように撮影され、雑誌に掲載されていたのかと、驚きと感動を与える唯一無二の写真集を堪能してみては。

HERO 大島康嗣の仕事
定価:7,480円(税込)
体裁:A4変型 320ページ

(IKKI)