グループの成長のためにイトーヨーカ堂の機能を

株主から再度“切り離し”迫られるイトーヨーカ堂、矢継ぎ早に進める事業構造改革の現在地
(画像=『DCSオンライン』より 引用)

 これら事業構造改革の一方で、成長戦略も打ち出している。具体策として挙げるのがネットスーパーのセンター化、首都圏・大都市圏への店舗集中、そして食のSPA(製造小売)化だ。

 ネットスーパーのセンター化では、23年春に神奈川県横浜市、24年夏に千葉県流山市に専用配送センターを開設する予定だ。既存の店舗発送型にセンター発送型を加えることで需要拡大に対応する。

 首都圏・大都市圏への店舗集中では、店舗とネットスーパーで経済圏を構築。有力テナントを招致し商圏特性に合わせたSC(ショッピングセンター)化も図る。

 食のSPA化では、23年度から25年度にかけて、生鮮品の加工・配送を行うプロセスセンターや総菜の調理加工を集中化するセントラルキッチンの開設・増築を予定する。これらのインフラを活用しオリジナル商品の開発を強化するという。

 セブン&アイによると、こうした施策によってめざすのは、グループ食品戦略の中核を担う企業として商品調達や商品開発を通じたグループの企業価値向上への貢献だ。イトーヨーカ堂単独の成長戦略というよりも、グループの成長にイトーヨーカ堂の機能を生かす意味合いが強いと言える。

 21年に公表した中期経営計画によると、事業構造改革・成長戦略によってイトーヨーカ堂のEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)を149億円(21年度)から470億円以上(25年度)に引き上げ、売上比を表すEBITDAマージンを1.3%から4.5%以上にする目標を掲げている。

 事業構造改革は22年度中に完遂予定だ。長年にわたる事業構造改革に終止符を打ち、収益力を回復できるのか。イトーヨーカ堂の正念場は続く。

提供元・DCSオンライン

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