新型コロナウイルス拡大の影響で消毒用エタノールが不足する中、「無水エタノール」から消毒液を自作する方法が話題になっています。
その中で、「精製水がないと作れない」という噂がネット上で広がっているようです。
ですが、消毒用エタノールは水道水でも問題無くつくることができます!
今回は、元・理科の先生である筆者が、家にあるもので「正しく」「安全」に消毒用エタノールを作ってみました。
材料・器具
- 無水エタノール 濃度99.5% ※1
- 水(水道水、ミネラルウォーター、精製水いずれでも可)※2
- 計量カップ
- 料理用量り(計量カップの目盛りでも代用可)
- 霧吹き(アルコール用のものが望ましい)※3
注意
※1 無水エタノールはすぐに揮発してしまいます。そのため絶対に、火気を使用している部屋では作業を行わないでください!
※2 水は不純物が全く入っていない精製水のほうが良いです。ただ、精製水は貴重なため、水道水やミネラルウォーターでも大丈夫です。
水道水やミネラルウォーターでは、不純物によって精製水より長持ちしなくなってしまうのですが、微生物汚染はアルコール度数10%以上の液体では起こりにくいので問題ありません。
※3 霧吹きはアルコール用のものを使いましょう!霧吹きの材質として、PET(ポリエチレンテレフタラート)PE(ポリエチレン)PP(ポリプロピレン)PVC(ポリ塩化ビニル)があります。PETはアルコールに溶けてしまいます…。
実際に作ってみた
では実際に用意した材料から消毒用エタノールを作ってみます!
殺菌に適切なエタノールの濃度は76.9%〜81.4%と言われていますが、今回は簡単に77%濃度のエタノールを作ってみます!
本来エタノールはvol%(溶かしている物質の体積 ÷ 全体の体積)で濃度を表しますが、無水エタノールと水の混合液の体積を量るのは難しく、蒸発もしやすいので、今回はwt%(溶かしている物質の重さ ÷ 全体の重さ)で計算しています。
さて、分量を求めるためには、無水エタノールの量を100g、薄めるために加える水の量をx gとすると、次の式を解けばいいことになります。
中学生のときに習った濃度計算のアレです。懐かしいですね。
[99.5 / (100+x) ]×100 = 77
これを解くと、x= 29.2
となるので、無水エタノール100gと水29.2gを混ぜるだけで濃度77%の消毒用エタノールができちゃいます!
ちなみに正確ではなくなりますが、家に量りがない人は、目盛りのついた容器に水23 mlを入れ、混合液が100 mLの目盛りになるまで無水エタノールを加えてくださいね。
1. 水約29gを料理用量りにおいた計量カップに注ぐ
エタノールは揮発性が高いため、まずは水を計量カップに注ぐのがおすすめです!
料理用の量りがなければ、計量カップの目盛りで30mLでも構いません。
2. エタノール100gを計量カップに注ぐ
無水エタノールを容器から計量カップに注ぎます(火気厳禁)。
量りの重さが合計129gになるはずです。
3. 容器に移し替える
最後に容器に移し変えて…
完成です!
分量については、必要な量に応じて変えてみてください。
無水エタノール:水
=100g : 30g
の比率さえ守れば濃度77%の消毒用エタノールができます!
ちなみに消毒液を使用する際には手に刷り込むように擦ると、効果的なようですよ。
消毒液エタノールの欠品が続いてるので、工夫して現状を乗り切りましょう!
【お願い】
記事中で取り上げている精製水は、医療患者の生命維持に使われる大切な資源です。今はできるだけ水道水やミネラルウォーターを使うようにしましょう!
【編集注 2020.04.15 12:40】
記事内容を一部修正して再送しております。
【編集注 2020.04.10 14:10】
記事内容を一部加筆して再送しております。
reference: wikipedia / written by shuni
提供元・ナゾロジー
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