アゴラ記事「厚労省が公式にデータを修正 →「ワクチン有効」は嘘だったの衝撃」により、これまで未接種者の陽性率として接種者との比較のもと公表されてきたデータは誤りで、実際にはかなり低かったことが広く知られるところとなった。
ツイッターなどSNSではデータの“改ざん”と指摘されるほど、新型コロナウイルスの影響、特にワクチン接種の効果についての厚労省のデータの信頼が揺らいでいる。
森田氏記事の根拠は、厚労省ADB(新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード)の下記資料による。
脚注に「ワクチン接種歴が未記入の場合、令和4年4月20日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、5月11日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している。」と記載されている。
そして、この訂正で、分析結果が大きく異なる様相となり、感染予防効果も期待できるとしていた根拠が揺らいだ。
この表は、遅くとも第55回ADB(R3.10.13開催)から、事務局作成資料として公表されていることから、約7か月にわたり訂正前の誤ったデータを公表してきた可能性がある。
さて、今回私が指摘したいのは、厚労省は、遅くとも昨年12月にはこのデータを訂正できたのではないかという疑念である。もし訂正できたにもかかわらず行われていなかったのであれば、“改ざん”との批判が出ても不思議ではない大きな問題である。
下記の第61回 (R3.12.1開催) ADB資料(抜粋)をご覧頂きたい。
HER-SYSにおけるワクチン接種歴は、未入力の場合に『ワクチン接種なし』としてカウントされていることに注意が必要」と明確に記載されている。
そして、第62回 (R3.12.8開催) ADB資料(抜粋)では、「HER -SYSにおけるワクチン接種歴は、第47週までは未入力の場合に「ワクチン接種なし」としてカウントされていたが第48週からは未入力の場合に「接種歴不明」とカウントされるようなった。」と記載されている。
ご注意頂きたいのは、この資料は、「鈴木先生提出資料」であること、そして、今回話題のデータ修正がなされたのは事務局作成資料であることだ。
これら3つの資料を見比べると、委員提出資料では昨年12月に指摘、修正されているにもかかわらず、事務局作成資料が訂正されたのは、第83回(R4.5.11開催)ADBの資料2-5においてなのは、一体なぜなのかということである。
この段階でお断りするのは誠に申し訳ないが、私は医療の専門家でも、データ分析の専門家でもないため、この疑念は私の誤解に基づく可能性もゼロではないことだ。
アゴラ執筆陣や読者の方には医学知識の豊富な方や、データ分析の能力に優れた方も多いので、より深い分析がなされることを期待したい。
文・中村 哲也 団体職員(建設分野)/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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