消費増税前に家を購入したいと焦っている人もいるかもしれない。だが、消費増税の影響を受けずに住宅を購入する方法がある。個人間取引の中古住宅の購入だ。新築や事業者が仲介する中古住宅の購入は消費税がかかるが、個人間取引での中古住宅購入は例外なのだ。中古住宅にはさらに、価格が安い、いつでもどこでも探せるなどさまざまなメリットがある。

個人間取引の中古住宅は消費税が非課税

消費税の納税義務があるのは事業者であり、個人に納税義務はない。そのため、個人から中古住宅を購入する場合には消費税がかからないことになる。だから、消費税が上がっても影響はない。消費税の動向などを気にせずに安心して購入できる、それが中古住宅の大きなメリットのひとつだ。

ただし、不動産会社などの事業者が所有している中古住宅を取得するときには、消費税がかかる。最近増加しているリノベーションマンションなどがそうだ。

もちろん、仲介会社に支払う仲介手数料などの諸費用の多くには消費税がかかる。しかし、住宅価格に比べればさほどの負担とはいえないだろう。

中古は仲介手数料がかかり、ローン減税額も少なくなるが…

消費税がかからないのはあくまでも個人間での取引を行う中古住宅だ。つまり、中古住宅だから消費税がかからないと決めつけるのではなく、売主が個人か不動産会社などの事業者かどうかを確認しておく必要がある。

それと同時に、消費税がかからない分、住宅ローン減税の控除額が少なくなることは理解しておきたい。

新築の一般住宅の控除額は10年間で最大400万円、消費税増税後は13年間で最大520万円に拡充される。それに対して、中古住宅は年間20万円、10年間で最大200万円にとどまる。さらに11年目以降の控除はない。これは消費税増税後も変わらない。こうしたデメリットはあるものの、中古住宅にはそれを補って余りある魅力がある。

中古マンションなら新築の55%前後で手に入る物件が多い

中古住宅の最大の魅力は価格の安さだ。首都圏の中古マンション価格をみると、新築の55%前後で取得できる。比率的にはこの数年変化はないが、金額にするとその差は年々大きくなっている。

たとえば、2011年には新築が4,578万円に対して、中古は2,530万円とその差は2048万円。2017年をみると新築5,908万円に対して、中古は3,195万円とその差は2,913万円に達している(株式会社不動産研究所の2018年12月「不動産経済 マンションデータ・ニュース」より)。つまり、中古マンションであれば、新築に比べて3,000万円近くも少ない予算で手に入るわけだ。

もちろん、これは建築後の築年数によって異なる。首都圏中古マンションの成約価格は築5年までの築浅物件が5105万円に対して、築6年~10年は4486万円。築21年~25年は2183万円まで下がり、築31年以上の築深物件は1759万円になる(東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通事情(2017年より)」。築浅物件は新築価格とさほど変わらないものの、築深物件なら新築の半分から3分の1以下で購入できるのだ。

いつでも探せて、すぐに入居できるメリットも

中古住宅にはいつでも探せるというメリットもある。新築マンションだと、希望エリアが決まっていると年間1棟、2棟しか出ないこともあるが、中古ならいつでも探せる。しかも、駅前再開発を除けば、新築は徒歩時間が長くなる傾向があるが、中古は駅近物件も少なくない。

すぐに入居できる物件も多い。新築でも完成済みの物件ならすぐに入居できるが、新築マンションは建物完成前の青田売りがほとんどで、大型物件の場合は完成が販売開始から1年後、2年後ということも珍しくない。入居までの期間が長い上、実物を見ることができないというデメリットもある。

それに対して、中古住宅はすでに売主が退去済みであればすぐに入居できる。居住中であっても3か月以内の明渡しが一般的なので、ほとんど時間がかからない。もちろん、事前に実物を見られる安心感もある。

さまざまな面でメリットが大きい中古住宅。消費税増税時には一段と人気が高まるかもしれない。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)
 

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