ソニーは、9月1日に、ハイエンドスマホの「Xperia 5 IV」を発表しました。6月に発売された「Xperia 1 IV」のコンパクト版という位置づけです。

カメラのセンサーを刷新し、トリプルカメラのどの画角でも秒間60回のAF/AE(オートフォーカス/オートエクスポージャー)が行えるほか、本格的なビデオカメラのように撮影できる「Videography Pro」にも対応しています。

ソニーが9月1日に発表したXepria 1 IV。日本でも発売予定だが、導入されるキャリアなどは明かされていない

デジカメライクな撮影体験

Xperiaは、19年に発売された「Xperia 1」投入時にコンセプトを大幅に見直し、「好きを極める人」をターゲット層に据えました。なかでも、ソニーの強みであるカメラには、デジタル一眼カメラ「α」のノウハウを投入。翌20年に発売された「Xperia 1 II」では、αのユーザーインターフェイス(UI)をスマホのUIに最適化した「Photography Pro」を導入しています。

Xperia 1 II以降のハイエンドモデルに搭載されるPhotography Pro。αのようなUIで細かなパラメーターを調整しながら撮影できる


iPhoneをはじめとしたほとんどのスマホは、AIを活用し、自動でベストショットが撮れることを売りにしています。対するXperiaは、カメラ好きのニーズにこたえ、よりデジカメライクな撮影体験を特徴にしました。シャッター速度や露出、ISO感度などのパラメーターをデジカメのように細かく調整でき、自分好みの写真を高画質で撮れる機能で差別化を図っています。これを動画に応用したのが、冒頭で挙げたVideography Proです。

ビデオカメラのようなUIで動画を撮影できるVideography Pro。ズームレバーで、滑らかに被写体に寄っていくことが可能だ


大多数のユーザーにとっては、自動で簡単に撮影でき、かつAIが画質まで最適化してくれるカメラの方が使い勝手がいいと言えるでしょう。一方で、以前からカメラを使いこんでいたユーザーには、それだと物足りないところがあります。ニッチではありますが、ターゲット層である「好きを極める人」にマッチする機能を搭載し続けたことで、市場でのシェアも徐々に復活。21年度上期にはAndroidでシェアトップに躍り出ました。その後は、シャープやサムスンに抜かれていますが、2社に対抗できるところまで盛り返したのも事実です。

MM総研調べの21年度上半期スマホシェアで、ソニーは2位に躍り出た。21年度全体では4位だったが、勢いを徐々に取り戻していることがうかがえる