「賢く節約」と「こだわり商品」

次に、ロピアとコストコがどのような使われ方をしているのかを見ていこう。

図表❸は、2店舗の利用者が併用している総合スーパー(GMS)やSMのトップ10である。特徴的なのは、ロピアの上位には「ヤオコー」や「ビッグハウス」といった近隣のSMがトップ5にランクインしている一方で、コストコでは「イオン」「イトーヨーカドー」など、GMS店舗が多くを占めている点だ。コストコは比較的1カ所で日常に必要な商品をまとめて購入したい意向を持つ利用者が多いと考えられそうだ。

意外、主たるお客は中高年!?位置情報が示す、ロピアとコストコの利用実態!
(画像=『DCSオンライン』より引用)

また、コストコ利用者では7位に「北野エース東武船橋店」、18位に「成城石井髙島屋ステーションモール店」といった高級SMと言われるチェーンがランクインしており、こだわり商品を求める傾向が見てとれる。

unerryのリアル行動データは、行動者の興味・関心の傾向を表す「行動DNAデータ」も抽出・分析できる点に特徴を持つ。行動者が訪れた「場所」から160以上の項目をもとに判断するものだ。

同調査でも対象者の行動DNAデータを活用し、代表的なペルソナを導き出した。その結果は、「コストコ千葉ニュータウン倉庫店」は「日常ショッピングはバランス派」、「ロピア印西BIGHOP店」は「効率的なおトクエンジョイ派」という像が浮かびあがった(図表❹)。

意外、主たるお客は中高年!?位置情報が示す、ロピアとコストコの利用実態!
(画像=『DCSオンライン』より引用)

まずコストコとロピアのペルソナの共通点は、外食は少なくファミリーレストランに立ち寄る程度で、SMや100円ショップを愛用して自宅での生活を充実させる傾向にある点だ。お得に、賢く節約をして、楽しみながら日常生活を豊かにする工夫をしたいというニーズを、コストコとロピアはつかんでいると言える。

一方の異なる点としては、コストコ、ロピアの利用者はともにコロナ禍で外出先や旅行を極力控える傾向が見られたものの、ロピアの場合はアウトレットには出かけるなど、少し足をのばしてでもお得に買物をしたいようだ。また日常の買物では複数のSMを使い分けるという傾向もある。賢い買物のためには労力をいとわず、よりアクティブと言えるかもしれない。コストコについては併用するSMに「北野エース」「成城石井」などが挙がっている点から、自分好みのこだわり商品を購入するために積極的に行動する傾向があると言えそうだ。

このように、今回は位置情報を活用することによって、有力チェーンであるロピアとコストコの共通点、また利用者の本質的な違いに迫った。データ活用が身近になりつつある今、利用傾向をしっかり可視化することで的確な対応策を打っていきたい。

提供元・DCSオンライン

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