イーロンマスク氏の賞味期限

私は長いこと、マスク氏を持ち上げ続けました。テスラが軌道に乗らず、工場に泊まり込み、友人に会えないと嘆きながらも細い紐一つの綱渡りで世界一の大富豪になりました。また、マスク氏の様々な事業開拓意識はすさまじく、スペースXは軌道に乗り、地上での超高速移動物体の実用化にも期待が高まっていました。が、マスク氏も人の子。やんちゃな顔も見せます。パーティーなどで踊り、トークし、得意満面のその顔はその域に達成した人ではないとわからない勝者の美酒であります。

が、日本人の私からすれば清貧、つまり金持ちになろうが、名声を得ようが生活を強く変えないのを良しとしています。なぜならお金も名声も人生の中では結果という付属品でしなく、それまでに築いたビジネスや社会的信用が全てであり、周りにちやほやされて踊るのは恥ずかしいほど別の自分に見えてしまうのです。それこそ自分のアバターにやらせておけばよいのでしょう。バフェット氏をはじめ、リアルの自分のスタイルを変えない人は数多くいます。

マスク氏が今回ツィッター買収に手を出した第一報の際、このブログで「個人的には評価しにくい」と申し上げました。彼の才能は別のところにあり、こんなことにエネルギーを消耗してほしくないのです。EVのテスラの市場の評価は夢追い新興企業から業績主体になる中で競合が今後、どっと増えることを考えればアウトスタンディングになりにくくなります。今週にはスペースXの宇宙船スターシップ用のブースターが試験中に爆発した事故もありました。マスク氏は「ひと夏の夢だった」と裸一貫に戻ることをいとわないのか、これがマスク氏復活のカギなのかもしれません。

後記
当地の領事館に弔問に行ってきました。驚いたのは弔問記帳には皆さん一ページぎっしり書き込んでいる方が多いこと。領事館の方が「なので、凄く並んでしまうんですよね」と。アジアの方が数多く記帳に来られたとのこと、本当に偉大な政治家だったと思います。亡くなってから評価が更に上がっているのは確実です。世界不和が多い中、我々が失ったものは果てしなく大きく、世界の損失でもあったと言えそうです。本当に悔やまれる事件でした。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年7月16日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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