最も美しく、壮麗な天文写真を決めるコンテスト「アストロノミー・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー(Astronomy Photographer of the Year)」の受賞作品が、今年も発表されました。

同コンテストは、英グリニッジ天文台(Royal Observatory Greenwich)によって運営されており、今回で14年目の開催となります。

今年は世界67カ国から3000点以上の応募が集まり、非常にレベルの高い年だったとのこと。

その中で、最優秀賞を獲得したのは、どんな作品だったのでしょう?

最優秀賞は「レナード彗星」の幻想的な一枚

今年、最優秀賞を受賞したのは、オーストリアの天文写真家、ジェラルド・レーマン(Gerald Rhemann)氏による「Disconnection Event」という作品です。

これは、レーマン氏が昨年末のクリスマスに、アフリカ南西のナミビアで撮影した一枚で、レナード彗星のガスの尾の一部が切り離され(disconnect)、太陽風によって運ばれていく様子が捉えられています。

この作品は「惑星・彗星・小惑星(Planets, Comets & Asteroids )部門」および、コンテスト全体で最優秀賞を獲得しました。

最優秀賞を受賞した「Disconnection Event」
Credit: Gerard Rhemann – Astronomy Photographer of the Year 2022

レナード彗星とは、2021年1月に、米アリゾナ州・レモン山天文台の天文学者グレゴリー・レナード(Gregory Leonard)氏によって初めて発見された彗星です。

2021年12月12日に地球に最接近し、地球から約3490万kmの距離を通過。その後、2022年1月3日に太陽へと最接近したのち、太陽系の外へと飛び去って行きました。

そのため、地上からレナード彗星を観察できるチャンスは二度とありません。

コンテスト審査員で、SNS広報担当のメリッサ・ブロビー(Melissa Brobby)氏は「この作品を初めて目にしたとき、圧倒されました」と話します。

「最近太陽系を訪れたレナード彗星が、とても美しく捉えられています。また、背景の星々が、彗星の尾をより幻想的に際立たせており、一日中でもこの写真を眺めていたいくらいです」

撮影者のレーマン氏は「この賞は、私の仕事のハイライトの一つであり、これまで天文撮影のために費やしてきた努力がすべて報われました」と述べています。