道外の旅行者と待ち合わせて札幌で飲む時、ノルベサを目印にする事がある。
細かい説明は要らない「赤い観覧車が乗ってる建物」で済むからである。これより分かりやすい目印は、テレビ塔ぐらいしかない。
そんなノルベサの観覧車「ノリア」は、ただの飾りではなく、きちんと乗る事が出来るのである。

札幌2番目のランドマーク

ノルベサは商業ビルである。ボウリング場から、料理屋、居酒屋、アニメショップなど、様々な店舗が入っており、屋上には観覧車「ノリア」がある。
ノルベサの由来は、フランス語の「Nord」と北海道弁の「べさ」をかけたという事になっているが、札幌市民は「(観覧車に)乗るべさ」以外の認識を持ってはいない。

立地としては狸小路とすすきのの間に挟まれる区画で、地下鉄すすきの駅から出て、ビルの上を何となく見上げて歩き回れば、いずれ辿り着ける。
ビルの上の観覧車というのは、数は少ないものの大阪、東京、埼玉、愛媛、鹿児島と各地に存在し、決して札幌がオンリーワンではない。
だが、そこから見る事が出来る景色となると、話は別なのだ。

夜景を見下ろす、すすきの近くの観覧車「ノリア」
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)

真冬の夜の観覧車

いつか行こうは絶対行かない。数年前の1月末、残業の帰り道、思い立ったタイミングを逃さず、乗ってみる事にした。
勝手知ったるノルベサ内、7階の乗り場へ上がり、乗車券を買う。係員の人の誘導でゴンドラへ乗り込んだ。

夜景を見下ろす、すすきの近くの観覧車「ノリア」
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)

雪の降りしきる中、ゴンドラが上がり始めた。
時間は20時。ノリアにとっては宵の口である。なにしろ休み前の午前3時、平日前で23時まで営業している。
暖房完備のゴンドラは、寒さを感じる事もない。

ノリアの直径は45.5m、地上78mに達する。32台のゴンドラが1回転して10分間。
ゴンドラが少しずつ上がるにつれ、無骨な鉄骨から視界が開け、すすきのの賑わいが遠ざかりつつ全体を見せ始める。

夜景を見下ろす、すすきの近くの観覧車「ノリア」
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)

雪はまだ激しく降っている。けれどこの程度の勢いなら光は雪をすり抜けていく。ニッカの看板がはっきりとよく見える。その周り、様々な飲み屋のネオンが眩しい。反対を見るとテレビ塔が、これはライトアップで全体が光っている。
雪化粧の地上の建物を細かく見る事が出来るけれど、全体を視界に入れられる。そこにゴンドラのガラスと雪のソフトフォーカスがかかり、幾分光を滲ませる。ファンタジックと表現するのが塩梅良さそうな風景であった。

夜景を見下ろす、すすきの近くの観覧車「ノリア」
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)