家庭用チルド麺市場の最大カテゴリーはラーメンだ。インテージSCIデータをもとにした業界推計によると、直近の構成比は約30%を占め、うどん(約25%)、焼そば(約20%)との差を広げている。とくにコロナ禍以降は有名店とのコラボ商品が伸長。外食の代替で存在感を高めた。業界大手のみならず、中堅メーカーの商品化も目立つ。
愛知県に本社を置く名城食品。「3食焼そば」のパイオニアとして知られるが、近年はラーメンカテゴリーを20年度20%増、21年度6%増と伸ばしている。有名店とのコラボに積極的で、なかでも「2食 リンガーハットの長崎ちゃんぽん」はヒット商品に育った。
22年秋は新商品「2食 一風堂 白丸元味」を発売する。開発は2年半前にスタート。試行錯誤を経て、とんこつラーメンを全国に広めてきた「一風堂」がこだわる麺とスープを忠実に再現した。「白丸元味」は、とんこつの旨みを極限まで抽出した豊かで香り高いシルキーなスープが特長。博多らしい細麺が良く合う。プロモーションとして、9月20日から登録者数100万人超のYouTubeチャンネル「SUSURU TV」で紹介される予定。同社は「取引先との商談では高い評価を得ている。当社ラーメンカテゴリーの強化に貢献すると期待している」とコメント。
西山製麺(札幌市)は、北海道の業務用ラーメン市場で抜群の知名度と信頼感がある。地元で長く親しまれる数多くの名店にこだわりの麺を提供してきた。その関係性を生かし、近年は市販用で人気店とのコラボ商品を続々と発売。その名を全国に轟かせる「すみれ」の「同33丸麺」「同 味噌スープ」「同 醤油スープ」、昭和43(1968)年創業の伝統を引き継ぐ「特一竜 なつかし正油ラーメン」「同なつかし塩ラーメン」、行列ができる味噌ラーメン専門店の「狼スープ 濃香味噌ラーメン」などをラインアップ。地盤の道内に加え、関東・関西などの大都市圏でも露出を広げている。食品スーパーなどで開催される「北海道フェア」「ご当地麺巡り」の販促企画でも欠かせない存在だ。
22年秋は、利尻島の本店が「最果ての行列店」として知られる「らーめん味楽」監修シリーズとして、「同 利尻昆布だし鶏塩ラーメン 2人前」を新発売。あっさりした旨みのあるスープに、独自の熟成ちぢれ麺を合わせた。先行する「同 利尻昆布だし焼き醤油味 2人前」と同様、新フレーバーにも大きな期待がかかる。「らーめん味楽」は新横浜ラーメン博物館内に支店を構え、首都圏での知名度も高い。
「元祖さっぽろラーメン横丁」で人気を博す「サッポロラーメン ひぐま 白味噌味 2人前」、北見の地で個性派スープを提供する「ラーメン専門店カムイ 味噌ラーメン 2人前」なども商品化。同社は「麺の供給を通じて信頼関係のあるラーメン店とのタイアップは当社ならでは。今後もお店のご要望を聞きながらWin―Winの関係を構築していきたい」と話す。
提供元・食品新聞
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