ダイエットを成功させるには、運動のほかに、食事面に気を配る必要があります。

その中で、昔からよく言われているのが「朝食を多めに摂って、夕食は少なめにすると良い」というアドバイスです。

私たちの体は、体内時計があるように、代謝リズムも1日を通して変化しています。

そのため、「適切な時間帯に適切な量の食事をすることで、体重を効率よく落とせる」と指摘されてきました。

実際に、2013年の研究では、1日の早い時間に多くカロリーを摂取し、夜には摂取カロリーを抑えることで、体重を減らすことができると示唆されています。

しかしこのほど、英アバディーン大学(University of Aberdeen)、サリー大学(University of Surrey)の新たな研究で、朝食と夕食の相対的な量の違いは、代謝や体重減少には影響しないことが明らかになりました。

研究の詳細は、2022年9月9日付で学術誌『Cell Metabolism』に掲載されています。

直接的な体重減少には繋がらないが、空腹感は減る?

本研究では、朝食と夕食の摂取量が「体重減少」と「空腹感」にどんな影響を与えるかを調べるため、健康ではあるが肥満気味の被験者30名を対象に実験を行いました。

被験者には、「多めの朝食と少なめの夕食」「少なめの朝食と多めの夕食」の2種類の食事セットをそれぞれ4週間続けてもらい、昼食の量は同じに設定してあります。

食事はすべて実験者が提供したので、被験者が消費したカロリーは正確に把握することができました。

また、被験者の1日の時間帯ごとの代謝レベルを測定し、消費カロリーもモニタリングしています。

チームは事前に、「多めの朝食と少なめの夕食」の方が1日の消費カロリーが増え、体重減少につながると予想しました。

ところが、実験の結果、2つの食事セットの間で、体重減少や消費カロリーの測定値に有意差は見られなかったのです。

また、1日の血糖値、インスリン、脂質のレベルにも差はありませんでした。

これらの血中因子の変化は、代謝レベルと関連しているため、体重減少を考える上で重要な指標です。

こうした結果を踏まえると、朝食を多めにし、夕食を少なめにしても、他の研究で指摘されているような、効率的な体重減少には繋がらないことが示されました。

1日の消費カロリーなどは変わらないが、主観的な空腹感は変化あり
Credit: Leonie C. Ruddick-Collins et al., Cell Metabolism(2022)

しかし一方で、被験者の自己申告による「空腹感」には、2つの食事セットで変化がみられました。

具体的には、「多めの朝食と少なめの夕食」にした場合、1日を通して空腹感がより少なくなっており、「少なめの朝食と多めの夕食」にした場合、夕食までの空腹感が増大していたのです。

この効果は、空腹感をうまくコントロールして食べる量を減らすことができるため、減量を目指している人には有効と思われます。

たとえば、朝食をしっかり食べておけば、昼食を抑えめにしたり、余分な間食を防ぐことができるかもしれません。

朝食をしっかり摂れば、その後の空腹感は少なくなる
Credit: canva

他方で、研究チームは、今回の実験について「各食事セットを4週間しか続けていない点で限界がある」と述べています。

というのも、過去の研究では、食事パターンの効果の差は、4週目以降に最も顕著になってくると指摘されているからです。

そのため、「多めの朝食と少なめの夕食」をもっと長いスパンで継続すれば、「少なめの朝食と多めの夕食」との有意な差が現れる可能性もあります。

いずれにせよ、「多めの朝食と少なめの夕食」に変えただけで、体重がみるみるうちに減っていくことはないでしょう。

健康的に体重を落とすには、やはり食事だけでなく、適度な運動や質の良い睡眠がどうしても重要になってくるのです。

参考文献

Weight loss: the time of day you eat your biggest meal has little effect – new study

元論文

Timing of daily calorie loading affects appetite and hunger responses without changes in energy metabolism in healthy subjects with obesity