弥生時代からある食文化

ではこのイカやタコの食文化は、いつから始まったのでしょうか。

日本近海には数多くの種類のイカが生息し、良質な漁場も多かったことから、イカは古くから日本人の食材として親しまれて来たことが分かっています。

過去の文献をさかのぼってみると、出雲国(現在の島根県東部)の歴史や文物を記した地誌『出雲国風土記』には、海でとれる様々な産物の説明の中に、沙魚(さめ)・佐波(さば)・鮑(あわび)・螺(さざえ)などとならんで「烏賊」(いか)の名が記されています。

その他にも、平安時代に編纂された法令集『延喜式』には、朝廷への献上物として、鮑や鮭とともに烏賊の名が記されています。

これらのことから、今から1300年前にはイカを食べる文化は存在し、さらに言うと、高級な食材であったことが分かります。

次にタコの食文化についてですが、実はイカよりももっと古く、今から2000年以上前の弥生時代の遺跡からタコ壷と思われる土器が出土しています。このことから、タコを食す文化はかなり古くから根付いていたことが分かります。

タコが好まれていない理由

イカについては、ヨーロッパでは古くから食文化として広く多くの国に定着しています。

しかしながら、タコについては日本や韓国、タイなどのアジア以外ではあまり食材としての認知は高くなく、収穫量が世界一の中国でも消費量は多くありません。イカに比べて漁獲量が少ないこともその証明ともいえるでしょう。

タコが食材として食べられない理由としては、一部の国では宗教上の理由から鱗のない魚介類は汚らわしいものとされ、「デビルフィッシュ」と呼ばれ忌み嫌われているからです。

ヨーロッパではイタリアやスペイン、ギリシャや南フランスなどの地中海沿岸地域の国では普通に食されていますが、ヨーロッパのそれ以外の地域では食材として目にすることはほとんどありません。

近年では健康志向の影響から中国やアメリカでも消費が増えつつあるようですが、まだまだマイナーな食材からは脱却できていないと言えます。

日本で消費される理由は?

イカについては世界中で広く食されていますが、タコが日本でこれほど多く食べられているのはもしかしたら、関西発祥のあの料理が理由かも知れません。

あの食べ物がある限り、日本の消費量が海外諸国に抜かれることはきっとないでしょう。

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<近藤 俊/サカナ研究所>

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