まだ暑い日が続いていますが、夜になると虫の声が聴こえ、秋の気配を感じます。

そして秋といえばお月見。マクドナルドで「月見バーガー」が売り出されると、そういえば、もう秋で月見の季節だなと気づく人も多いのでは?

今年は、はやくも9月10日中秋の名月、十五夜の日です。

そこで今回は、十五夜の月の観測情報や、よりお月見を楽しむための雑学をお届けします。

2022年の十五夜の観測情報

今年の十五夜の月は満月

十五夜は、満月の1日前の年と満月の年が大体半々くらいです。ときには2016年のように2日前なんて年も。

やはり、十五夜はまんまるの満月のほうが、なんだか嬉しいですよね。

十五夜は「陰暦15日の夕方に出る月」というのは決まっていますが、月の軌道が楕円形のため、新月から満月になるまでの日数はちょうど15日ではありません。その日数は13.9日から15.6日と大きく変化します。

また、月はたえず満ち欠けしています。カレンダーをめくったら数字が変わるように、日付が変わると同時に形が変わるわけではありません。そのため、日の区切りと月の見え方が一致しません。

以上のことから、十五夜は必ずしも満月にはならないんです。

十五夜の月はいつ見える?

9月10日の月の出は18時11分(東京都)。昇り始めの大きく見える満月を楽しみたい人は、19時頃までを狙いましょう。

2022年の中秋の名月の日の東京の星空
Credit: 国立天文台

21時頃には南東の空に高度30°ほどの見えやすい位置に昇ってきます。

このとき、月をはさんで右手には土星左手にはちょうど今見頃の木星が明るく輝いている様子も楽しめます。

今年の十三夜はいつ?

この10年ほどで、十五夜より一月ほどあとに訪れる十三夜も話題に出るようになってきました。

今年の十三夜は10月8日です。

昔は片方しか月見をしないのは「片見月」と言われ、縁起が悪いこととされていました。

それを口実として、2回目のデートの約束を取り付けるなんてこともできたんですけどね。

また、「十三夜は曇りなし」という言葉があり、晴れる傾向のため、十五夜の日が雨だった場合は十三夜の観月に挑戦してみてください。

十五夜の雑学

なぜススキを供えるのか?

月見の定番はススキ
Credit:canva

十五夜のお供え物として、欠かせないものといえばススキです。

なぜススキを供えるのかというと、豊穣の象徴である満月に感謝として芋や豆などの収穫物を捧げます。日本の秋の収穫物の主役といえば米ですが、稲穂が実る時期と合わないため、稲穂の代わりにススキを供えたという説があります。

ほかには、ススキは茎の内部が空洞なために神の依代と考えられていたこと、切り口が鋭いので魔除けになるとして、無病息災や豊作祈願の意味も込められていたようです。

「秋の七草」の萩で花見と月見はいかが?

七草といえば、有名なのは「春の七草」ですが、「秋の七草」もあります。

昔の十五夜では、秋の七草も飾って楽しまれていました。そして、ススキは秋の七草のひとつでもあります。

秋の七草は以下。由来になった、万葉集で詠まれた順に記載します。

  • 萩(はぎ)
  • 尾花(ススキ)
  • 葛(くず)
  • 撫子(なでしこ)
  • 女郎花(おみなえし)
  • 藤袴(ふじばかま)
  • 桔梗(ききょう)
秋の七草「萩」
Credit:canva

この中では、萩がもっとも名所が多く、注目度が高い花かもしれません。秋は月を見ながら萩を楽しむというのも風流でおすすめです。

以下、名所をいくつかあげてみました。

偕楽園(茨城県:水戸市

日本三大名園のひとつで梅で有名ですが、萩もたくさん植わっており、毎年9月に萩まつりが開催されます。

向島百花園(東京)

今年は9月17日から10月2日に萩まつりがあります。全長30メートルの萩のトンネルが見どころ。

竜眼寺(東京)

通称「萩寺」と呼ばれ、江戸時代から萩の名所として有名。

ちなみに「春の七草」は食べられますが、「秋の七草」は基本的に食べられません。葛だけは根からとったデンプンを食用にしますが、葉っぱは食べませんね。

なお、吉野など葛粉の名所のある関西では「くず餅」というと葛粉を使ったものですが、関東だと小麦粉のデンプンを発酵させたものなので別物です(関東と関西で違うのは、なんだか桜餅みたいですね)。

十五夜のハロウィン的な風習

日本のちょっと変わった行事「お月見どろぼう」
Credit:aquaselect

お月見とイベントとして時期がかぶるのが、すっかり日本にも定着した感のあるハロウィンです。

実は日本に「お月見泥棒」というハロウィンとちょっと似ているお月見イベントがあるのをご存知ですか?

十五夜の日に限り、子どもたちはお月見のお供え物を盗んでもいいというもので、長い棒の先に針金などをつけて、お月見団子を引っ掛けて盗んだとか。

子どもたちは月からの使者と考えられたそうで、盗まれたほうがよく、盗まれやすいようにお供え物が置かれることもあったとのこと。

また、このようにこっそり盗むのではなく、堂々と「お月見ください」「お月見泥棒です」と声をかけて家をまわってお菓子などをもらう風習もあるそうで、もっとハロウィンに近いですよね。

そんな「お月見泥棒」の風習は、今では廃れてきたものの、東北、中部、近畿、九州など全国的な範囲の農村部を中心に残っているところもあるそうです。

9月は台風シーズンでもあり、天気はちょっと心配ではありますが、全国的には月を見られる場所もありそうです。

この数カ月は夜でも蒸し暑い日が続き、ゆっくり空を見るのは厳しかったものの、最近は朝晩心地よい日も増えてきました。

9月の月は「ハーベストムーン」で収穫の月で十五夜にピッタリの名前です。実りの季節に感謝しつつ、観月を楽しんではいかがでしょうか。

参考文献

国立天文台 暦Wiki
国立天文台 ほしぞら情報 中秋の名月(2022年9月)
偕楽園
向島百花園
竜眼寺
Wikipedia