サオを根本から曲げる大型魚急襲

その時は突然やってきた。半ば諦めていた午前2時30分ごろ、サオ先が突っ込んだ。すかさずアワセを入れたが、これは今までの魚と明らかに大きさが違う。その証拠に、アワセ直後からサオを起こすことができないばかりか、逆に硬く締めておいたはずのドラグが引きずり出された。

手元のリールのカウンターでヒットしたタナが8m、そこから一気に硬く絞ったドラグでも4mを軽く引きずり出され、カウンターを確認すると約13mの深さに掛けた魚はいた。根に潜ったのか、そこで巻くこともできず引かれることもなく沈黙。

魚とのやり取りのためにサオやミチイトにかけていたテンションを緩め、動きだすのを待った。すると、さらに下の方へ移動しようとしたのか緩めたテンションが再度ミチイトからサオ先にかかりだした。すかさずサオをあおってリールは約2m巻き上げることができた。こんな作業を5回は繰り返した。

改めて思ったが、ここまで私の使用するサオが根本まで曲がったのは初めてだった。

10分以上の格闘制し良型アラ浮上

そして、ついにその魚の正体が明らかとなり、暗い海面に上がってきて横たわった。人と魚の持久戦だった。どれほどの時間がかかったかは記憶にないほど必死だったが、同行の佐藤さんによると「10分以上やり取りしてたね」とのこと。魚の正体はアラ。90cmほどで重さはちょうど10kgだった。

これまでイシダイ釣りをしてきたが、それとはまるで違う引きの強さと魚体の重さ。これをこのサオで釣ったんだという興奮は、これまでの釣り人生の中では群を抜いて強烈な思い出となった。

この日はここで納竿となったが、この魚を釣ったことで、釣りに対しての認識がまた変わった。それは、趣味としてする釣りである以上、安全性はしっかりと整えなければならないということ。これは装備や道具類もそうだが、体力や体調も万全で臨まねば不意の大物とのやり取りには危険が伴うということだ。

まだまだ暑い夏が続く。水分補給、適度な休憩、身の回りの安全をしっかり行い、これからもいつまでも大好きな釣りを楽しみたい。

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<週刊つりニュース西部版APC・野坂僚/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
大島・沖磯「ムカゼ」
渡船:かいゆう丸
この記事は『週刊つりニュース西部版』2022年9月2日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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