ホンダ覚醒より必要なのは日本自動車業界の覚醒

ジャガージャパンの元社長の英国人氏と数日前、駐車場で長談義。氏曰く「今乗っているジャガーのSUVのリースがもうすぐ切れるので販売店に行ったら車が何もなかった!」と嘆きます。何もないというのは大げさにせよ、気に入ったものがないということだと思いますが、発注して待てば来年春の納車が期待できるものもあると。更に「こういう時代だから次はEVという選択肢も十分あるのだけどメーカーを問わずクルマがないよ。試乗車があったKIAのEVを試したら悪くはなかったよ、買わないけどね」と。

KIAは現代自動車グループで21年1月にコーポレートアイデンティを変え、幾何学模様のような独特のエンブレム、クルマのデザインは非常に力強く強烈な印象を与えます。テール処理も綺麗で正直日本車が凡庸に見えます。そのKIAと現代自動車を合わせたカナダのマーケットシェアは今年1-6月は12.4%でトヨタの12.2%を抜き、カナダではフォード、GMに次ぎ3番目になります。そんな中で今週の日経ビジネスの特集が「ホンダ覚醒」で眠っていた十数年からようやく目が覚めるのかという内容です。ホンダ神話も昔話でこのところ四輪は話題にならず、二輪や飛行機に主役を奪われていました。その記事の文中にある技術系社員の一言にすべてが表れています。「EVとかソニーとか宇宙とか。楽しそうだけど、自分の仕事には何も関係ない」。

これはホンダに限った話ではないのです。社員は会社の全容や経営陣の方針など全く知らないし、知らされないし、自分の目の前の日々やる仕事をこなすだけです。これではEVやら水素やらというレベルの話どころではありません。なぜ、そんな胡坐をかくようになったのか、一流企業に勤め、一等地事務所の住所が書かれた名刺を持つことを自らの「表札」としたことが変化対応を鈍くしているともいえないでしょうか?世界では各社がしのぎを削って争いをしています。ですが、日本勢はノホホーンとしているように感じるのは私だけでしょうか?

後記
居酒屋でちょっと飲んで一人7-8千円は北米物価ではやむを得ないのですが、その中身がから揚げに卵焼きでは居酒屋の価値とは何だろうと思ってしまいます。ある知り合いの居酒屋のオーナーから電話があり8月末で店を閉めますと。時代の流れでしょう。では焼き鳥屋に行くかと言えばそれも違うし、私はラーメンは店では食べない主義なのでいよいよ行くところがありません。カナダのファミレスで2000円のハンバーガーとビール数杯でおひとりさまチップ入れて5000円なら外食やめて家飲みしようと思い、酒屋に行けば一部従業員のストライキ中で酒屋に酒がなーい!例えお金があっても満足なんて得られないよな、と呟くひろでした。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年9月3日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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