道の概要
三重県と奈良県を流れる名張川の支流・青蓮寺(しょうれんじ)川に沿う香落渓(かおちだに)は、関西の耶馬渓と呼ばれる渓谷で、柱状節理の絶壁の岩肌が約8kmに渡って続いている。中でも天狗柱岩・屏風岩などの眺めは素晴らしく、その雄大な光景は自然の造形美を楽しませてくれる。春は山吹・ツツジが色鮮やかに咲き誇り、秋には全山が燃え立つような紅葉は本州でも屈指の雄大な美しさを誇っている。
この美しい渓谷を青蓮寺川に沿って走るのが『香落渓道路』だ。周辺の地名となっている青蓮寺は、今から約1200年前、真言宗の開祖である空海(弘法大師)が近隣の室生寺から現在の青蓮寺地区に入り教えを広め、その後、地域住民が力を合わせて寺を作り上げたのが起源とされている。
香落渓へは、北側の青蓮寺湖か南側の曽爾高原から向う2つのルートがある。周辺には青山高原道路もあるので、1日のツーリングのルート構成の中で検討すればよいだろう。今回は北側から走ることを想定する。
国道165号沿いの夏目から県道81号を川沿いを進むと、まず現れるのが青蓮寺ダムだ。アーチ式コンクリートダムは高さが82.0
mでなかなかの迫力である。ダムによってできた人工湖青蓮寺湖にかかる赤い弁天橋を渡り、青い青蓮寺橋を見ながら川沿いを進むか、橋を渡って対岸の道を進んでもよい。そしてトンネルを抜けるとそこからが香落渓だ。
観光案内パンフを見ると、絶景の岩壁にはそれぞれ名前が付いているが、現地には案内標識は殆ど無く、あまり観光地化されていないのどかで素朴な渓谷。バイクなら好きな場所に停めて紅葉(新緑)狩りが出来る。特に屏風岩から南側が、香落渓の真骨頂。奇面岩と武者岩と呼ばれる巨大な岩壁は、紅葉が映える絶景地で、川がカーブして開けているので、日光も山頂から河原まで照らし出しだす。さらに南下し紅葉谷周辺は、無料駐車場・トイレ・休憩所が設置されており、ゆっくりと自然美を楽しむ事ができる。いずれも絶景地は雄大なスケールなので、超広角レンズかパノラマ撮影がお薦めだ。
こんなに素晴らしい渓谷だが、まだまだマイナーな場所で観光地化していない素朴感が残っている場所だ。
お薦めのシーズン
新緑の5月、圧倒的な美しさの紅葉の11月。