青森県某所—この北の大地に、自給自足で暮らす家族がいます。家は廃材で建て、野菜類は畑で栽培! ガス、水道、電気の契約もなし! お金はほとんど使わない! にわかには信じられないような生活のリアルを描いたエッセイを紹介します。

現代で自給自足ってどうやるの?お金はなどなど、気になることはたくさんあります。もちろん、文明の利器に一切たよらないわけではなく、パソコンやタブレットだって使い、朝は挽きたてのコーヒーを味わうといったハイブリッドな自給自足生活です。

青森県某所の自給自足暮らし!田舎のルンバはニワのニワトリ?
(画像=「都会を出て田舎で0円生活はじめました」 田村余一著、田村ゆに著 サンクチュアリ出版,『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

ご縁あって4羽を譲り受けた

とある秋のこと、著者は4羽のニワトリを初老友人から譲り受けた。それまで売れるほどたくさん飼っていたニワトリを欲しそうな人に無償で譲っているということだった。急いで廃材でニワトリ小屋を作る。そして4羽のニワトリがやってきた。

比内鶏が3羽、シェーバーブラウンというのが1羽だ。みんなメスなんだけど、どうやらマダム年齢に突入しているようで、卵はほとんど産んでくれない。1ヶ月にやっと1個産むか産まないかという産卵ペースだ。有精卵を買ってきて、小屋の中に置いておけば抱っこして孵化させてくれるんじゃないか?とやってみるも簡単ではない。(著者)

産卵ピーク時期がすぎると『抱きグセ』もなくなってしまうらしい。ニワトリ自体の寿命は平均して10年ほど。 生後5ヶ月くらいから卵を産み出し、その後2~3ヶ月で産卵ピークを迎え徐々に産卵数が減っていく。半年で立派なオトナになるわけだ。そして、この若鳥の時期に食肉として屠殺される。(同)

事業飼育されているニワトリの一生はビックリするほど短い。人間にたとえたら4~5歳で一生を終える計算らしい。著者は次のように言う。

うちのニワトリは何歳なんだろう。 産卵ピークには毎日産んだりもするというけど、うちは月に1個あるかないかだ。 トサカのシワとか、眼光とか、羽根のツヤとかを観察してみたけど、ニワトリに関しては素人だから全然わからなかった。(著者)

また、ニワトリは生活テリトリーが狭い。アスファルトやコンクリート、砂利敷のような道にはまず出ていくことはない。カノジョたちはゴツくて大きな足の爪で土をひっかき、植物の種子や土の中にいる虫を探して食べている。つまり、土の上にいないと落ち着かない。土がむき出しで土地にゆとりがある田舎では管理・飼育がしやすい。(同)

ニワトリに癒される日々の暮らし

また、ニワトリの土をひっかくという行動にはメリットがあった。田舎暮らしでやらねばいけない仕事の一つが草刈り・草むしり。非常に役立ったと筆者は述べている。

それをカノジョらは毎日の食事ついでにやってのける。ブチブチ、ガリガリと草を引きちぎっている。もはや田舎の庭で活躍する『ルンバ』と言ってもいい。我が家の場合、毎日毎日、無電源で4羽も動き回るわけで、2~3週間もすれば700坪ほどの敷地内の草むしりがほぼ終わってしまった(除草ムラ、畑の野菜も多少被害を受けた)。(著者)

ちなみに法的には9羽以下のニワトリ飼育であれば養鶏事業にはあたらず、届出もかなり簡略化されている。そんなわけで我が家では毎日庭先でコッコー言いながらニワトリさんが闊歩しています。周囲に柵はなく、そこにいる人と動物との間にも遮るものはない。これがまた実に牧歌的な風景を作り出してくれて、とっても癒されるんです。(同)

本書の魅力は、「節約節約! 」とか「しんどい! 」といった息苦しさを感じない点である。日々、生き生きとされている家族の様子がわかる。都会の喧騒に疲れたらぜひ一読いただきたい。日常がハッと変わるような気づきと勇気がもらえるでしょう。

文・尾藤 克之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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