NHKで「世界サブカルチャー史/欲望の系譜」と言う番組が8月に再放送されていたので録画して見てみた。アメリカの1950年代から2010年までを10年刻みで、その時代に公開されたアメリカ映画を中心にそれぞれ90分間で振り返るというドキュメンタリー番組(全7回)だ。アメリカという国の繁栄と矛盾が実に見事に描かれている。9月28日からはNHKEテレで毎週水曜日22時30分から全18回で30分版が放送されるという。見逃した方はぜひみて欲しい。特にファッション業界関係者は必見だと思う。ナレーターの玉木宏がなかなかイイ味を出していて、ボストン大学のブルース・シュルマン教授や「ニューヨークマガジン」のカート・アンダーセン元編集長などがコメンテーターとして登場している。

とくにアメリカ人の心の故郷が1950年代(「アメリカ 理想の50s」)にあったこと、現在に至るまでの亀裂・分裂の源が1970年代(「アメリカ 幻想の70s」)にあったということが実によく分かる。

すべてのディケイドを見ていて、驚いたのが1980年代(「アメリカ 葛藤の80s」)だ。番組ではマイケル・ダグラスが買収王を演じる映画「ウォール街」(1987年公開 オリバー・ストーン監督)が紹介されていた。その中に「ニューヨークダウ平均が初めて1000ドルを突破した」のは1982年という条がある。正確には1972年に一瞬だけ1000ドルを突破したことがあるのだが、突破した後に安定して1000ドル以上をマークするようになったのは1982年以降である。これが現在ではその33倍の3万3200ドル台になっている。一方、1982年の日経ダウ平均はというと、7500円からスタートして年末には8000円を突破している。つまり
・NYダウ :1000ドル(1982年)→3万3300ドル(現在)
・日経平均:8000円(1982年)→2万8700円(現在)
つまり大雑把に言うと、NYダウ平均は33倍、日経平均は3.5倍ということである。日本の上場企業がアメリカの上場企業に比べて、この40年間いかに成長しなかったのかがよく分かる。

この1982年から1989年12月29日のバブル経済崩壊寸前までの7年間で日経平均は3万8915万円まで実に5倍になるのだが、その最高値ですら、その後の33年で更新できていないのだから、何をか言わんやである。いずれにしてもNYダウにせよ、日経平均にせよ現在の水準があきらかにバブル水準であるのは万人が認めるところであるから、いつそのバブルが弾けるのかが注目されるのだが、一向にその気配がないのは、ちょっと不気味である。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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