マクラーレン・オートモーティブが、「グランツーリスモSPORT(PS4)」に登場した未来的コンセプトマシン「McLaren Solus GT」を現実世界で販売する。

シングルシートが中央に配された印象的なコクピットデザインはゲームの世界の機体そのまま。車重は1000kg以下で、流線型の空力パーツは1200kg以上のダウンフォースを発生させる。
尚、本モデルの生産台数はわずか25台で、すでに全て売約済みとなっている。

バーチャルワールドがそのまま現実に – McLaren Solus GT 誕生。サーキットで、その究極の没入感を

マクラーレン・オートモーティブは、バーチャルレースのコンセプトカーを現実のものとしたMcLaren Solus GTを発表した。この衝撃的なマシンは、サーキット走行における一体感を極限まで追求しており、現実世界でリアルな興奮を味わうことができる。

  • ゲームでデビューしたバーチャルのマクラーレン・コンセプトカーが、サーキット専用モデルとして世界で初めてリアルの世界に誕生
  • 生産はわずか25台で、すべてが売約済み
  • モータースポーツの最高峰への参戦から、スーパーカーやハイパーカーの開発まで、マクラーレンが培ってきたテクノロジーを活用して現実化
  • シングルシートを中央に配した印象的なコクピットデザインと、ジェット戦闘機を思わせるスライド式キャノピー
  • モータースポーツ由来のパワートレインを構造の一部とするユニークなモノコックシャシー
  • 5.2リッター自然吸気V10エンジンと、専用設計の7速シーケンシャル・ギアボックス
  • 車重は1,000kgに満たず、発生ダウンフォースは1,200kg以上
  • V10エンジンは、最高回転数10,000rpm以上、840PSと650Nmを超える最高出力と最大トルクを発揮
  • 0-100km/h加速の目標タイムは2.5秒、最高速は200mph(320km/h)超
  • 完全な「レーシングドライバー体験」を可能とするため、ドライビングシートはオーナーの体型に合わせて型取りし、FIA認可のレーシングスーツ、ヘルメット、HANS(ヘッド・アンド・ネック・サポート)を各オーナーに合わせて特注。ドライバー育成指導プログラムも付属
  • デリバリーは2023年から開始予定
バーチャルレースのコンセプトカー「McLaren Solus GT」が現実世界に登場
(画像=『Moto Megane』より 引用)

シングルシートのクローズド・コクピットを採用したサーキット専用モデルで、わすか25人のオーナーのために特注で製造され、すべてが既に売約済みだ。カリフォルニアで開催中のモントレー・カーウィークで、マクラーレン・オートモーティブCEOのミハエル・ライタースが披露した。

ゲームソフト「グランツーリスモSPORT」に登場する、マクラーレンの未来的コンセプトカーに命を吹き込むため、最高峰のモータースポーツから、スーパーカーやハイパーカーの開発まで、マクラーレンの幅広い経験と専門性をフルに生かして誕生したのがSolus GTである。

Solus GTは、車重が1,000kgに満たず、1,200kg超のダウンフォースを発生するエアロダイナミクス性能を誇り、5.2リッターの自然吸気V10エンジンを動力とする。シングルシーターのレーシングカーを除けば、どのマクラーレンモデルよりも速いラップタイムをたたき出す能力を備え、そのドライビング・エクスペリエンスは、Formula 1カーで走る一体感と衝撃に近いものだ。

「McLaren Solus GTは、バーチャルレースの世界のために作られたマクラーレンのラディカルなコンセプトカーを現実化したマシンだ。一般道の制約やレースのレギュレーションから完全に解き放たれ、マクラーレンのあらゆる専門性をフルに駆使して、現実のものとなりました。まさにマクラーレンの開拓者精神を象徴しています」
マクラーレン・オートモーティブCEOミハエル・ライタース

強烈なエクステリア・デザインは、インスピレーションとなったバーチャルカーを驚くほど忠実に再現しているが、その土台には、実績あるエアロダイナミクス理論と「すべてのものに理由がある」というマクラーレンのデザイン理念がある。さらに磨き上げるため、CFD(数値流体力学)と風洞を駆使したエアロダイナミクス研究が行われた。

エクステリアの特徴的な要素は数多くあるが、特に目を引くのは、中央のシングルシートを覆うスライド式キャノピーだろう。タイヤは空力的な形状のポッドで覆われ、サスペンション・アームの先に位置する。巨大なフロント・スプリッターで取り込んだ空気は、グラウンド・エフェクト・トンネルを通過して、フルワイドのディフューザーから排出される。モータースポーツをインスピレーションに、インテークはコクピット上に配置し、ロールフープのカバーと一体化した。冷たい空気をエンジンに供給すると共に、魅力的な吸気音を発する。サイドポッドにラジエーターを内蔵したのも、レーシングカーがインスピレーションとなっている。

マシンの総重量をも超えるダウンフォース量の鍵となったのが、ツイン・エレメントの固定式リアウィングだ。ダウンフォースとドラッグの比率も最適化され、直線パフォーマンスが押し上げられると共に、コーナリング能力も高まっている。

Solus GTの特別なエクスペリエンスは、エンジンを始動する前から始まる。特徴的なコクピット・キャノピーが浅い弧を描いて前方へスライドし、現れた開口部から乗り込む。これは一般的な自動車のドアはもちろん、他のマクラーレンモデルを象徴するディヘドラル・ドアともまったく異なり、むしろジェット戦闘機に搭乗するのに似ている。

乗り込む方法に加えて特別感を高めるのが、ドライバーとパフォーマンスだけにフォーカスしたインテリアと、その中央を占めるシングルシートだ。シートポジションは固定されている。Solus GTの25人のオーナーは、モータースポーツでおなじみの「シートフィッティング(シート合わせ)」を経験できるからだ。ペダルボックスの位置を調整できる点もレーシングカーと同様だが、座った状態で操作できる便利なリモートコントロール・システムを備える。

ステアリング・ホイールは、マクラーレンのプロダクションモデルの中でも独特のデザインだ。Formula 1をインスピレーションに、狭いシングルシーターのサーキット専用モデルに合わせて、ディスプレイと基本的な操作系がステアリングに一体化されている。ステアリングの向こう側はガラスの「バブル」が覆い、ヘイロー型コクピット保護装置が組み込まれている。そこに設置されたリアビュー・ディスプレイには、ロールフープ内の広角カメラからの映像が流れる。ドライビング・ポジションが中央のため、180°を見渡せる完全に左右対称の視界が開ける。これに加えて、ドラマチックなスタイルのホイールポッドも、コース上でのライン取りを助ける。

Solus GTのオーナーには更なる興奮を味わってもらうため、マクラーレンは完璧な「レーシングドライバー体験」を提供する。ドライビングシートは個々の体型に合わせて型取りするほか、FIA認可のレーシングスーツ、ヘルメット、HANSを各オーナーに合わせて特注し、無線通信が可能なイヤーピースも用意する。また、完全なドライバー育成指導プログラムを提供して、新しいサーキット専用ハイパーカーをオーナーがフルに活用できるよう支援する。

バーチャルレースのコンセプトカー「McLaren Solus GT」が現実世界に登場
(画像=『Moto Megane』より 引用)

Solus GTは、独自の5.2リッターV10エンジンを搭載する。少数生産の削り出しコンポーネントを使用するため、最高回転数は10,000rpmを超え、究極のパフォーマンスとスリリングな一体感が実現している。エンジンのレスポンスを強化するため、サーキット走行以外には不向きな各気筒独立のバレル式スロットルを採用。また、完全なギア駆動のため、カムシャフトや補機類を駆動するチェーンもベルトも存在しない。

最高出力と最大トルクは840PSと650Nmを超える。加えて構造的特性も、このエンジンが選ばれた理由だ。マクラーレンのプロダクションモデルとしては初めて、エンジンがシャシーの一部を構成している。これは、レーシングカーとしては一般的な手法で、カーボン・ファイバー製モノコックの後方に追加のシャシー・ストラクチャーやサブフレームが不要になるため、軽量化にとって最適なのだ。

レース生まれの7速シーケンシャル・ギアボックスは、鋳造部とケースが組み合わされた専用設計で、ケースはアルミニウムとマグネシウム製パネルで構成されている。これをエンジン後方に搭載し、リア・サスペンションはギアボックス・ケースに取り付けられる。その内部はストレートカット・ギアで、これをカーボン・ファイバー製多板クラッチでエンゲージ。これは、アグレッシブなシフトが要求されるサーキット走行に理想的な仕様だ。ソフトウェアが制御する完全に自動のシステムのため、ドライバーのクラッチ操作が不要で、ピットレーンから発進する際に有効である。

1981年以降の全マクラーレンと同様、Solus GTはカーボン・ファイバー製モノコックをベースにするが、このモデルでは、少数生産の専門的な手法を採用。そのひとつが、事前にカーボンに樹脂を含浸させる「プリプレグ」工程で、これによって構造的強度が高まり、素材の均一性が確保される。前後のシャシー・ストラクチャーもカーボン・ファイバー製で、エンジンとギアボックスが残りのシャシーを構成する。

Solus GTに使われている付加価値の高い素材は、カーボン・ファイバーだけではない。トップクラスのモータースポーツから採用したテクノロジーとして、3Dプリントによるチタン製コンポーネントがあり、ヘイロー型コクピット保護ストラクチャーとロールフープに使われている。マクラーレンのプロダクションモデルでこれを構造材に採用したのは初めてで、思いどおりのデザインを可能にし、軽量化にもつながった。

サスペンション・システムはダブルウィッシュボーン式で、インボード式トーションバー・ダンピングを、フロントはプッシュロッド、リアはプルロッドで作動する。前後アクスルとも、アンチロールバーが左右をつなぎ、ドライバーによる調整も可能。耐久性を高めるためにスチール製だが、フロントのサスペンション・リンクを空力的な形状のカーボン・ファイバー製シュラウドで覆う、Formula 1と同様の手法を採用している。

特徴的なホイールポッドの内部は、18インチ鍛造アルミニウム製ホイールを、センターロック式ナットで固定。ここに履くタイヤはル・マン・プロトタイプ仕様で、スリックとウェットの両コンパウンドが用意されている。ブレーキは、6ピストン、モノブロックのアルミニウム削り出しキャリパーと、カーボン製のブレーキディスクおよびパッドだ。前後のブレーキ・バイアスは、ドライバーがコクピットで調整できる。

サーキット専用モデルでは、伝統的なパフォーマンス数値はそれほど重要ではないが、0-100km/h加速の目標タイムは2.5秒、最高速は200mph(320km/h)だ。ここに軽量な車重と強力なエアロダイナミクス性能が上乗せされるので、McLaren Solus GTが、究極のサーキットマシンと呼ぶにふさわしいパフォーマンスを備えていることが分かるだろう。

このように世界最先端のメーカーとして、あらゆる要素が盛り込まれたマシンだが、さらにSolus GTは、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)が提供する、クラフトマンシップのショーケースにもなる。これほどのプロジェクトであるためMSOによるサービスも、マシン自体を超えて、マクラーレンならではの高い水準で、ラグジュアリーなカスタマー・エンゲージメントやユニークな機会を提供することになる。ビスポークの過程を踏むことで、1台1台のSolus GTは唯一無二の存在となる。また、開発プログラムの進捗状況も定期的にアップデートし、プロトタイプのテスト走行に参加して、製造前にドライビング特性に影響を与える機会も用意されている。

Solus GTのサーキットイベントも計画されている。オーナーのサーキット活動をサポートするため、すべてのマシンはフライトケースと共にデリバリーされる。その中には 幅広いツール、ジャッキ、スタンド、無線装備一式、クーラント・プリヒーターが含まれる。

McLaren Solus GTの開発は、現在 サーキットでテスト走行を行う段階に入っている。既に完売している25台のカスタマーカーは、2023年からデリバリーが始まる。

バーチャルレースのコンセプトカー「McLaren Solus GT」が現実世界に登場
(画像=『Moto Megane』より 引用)

リリース提供元:マクラーレン ・オートモーティブリミテッド アジア

提供元・Moto Megane

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