行き過ぎたセックスが大量死を招いた
何が古代のカエルたちの大量死を引き起こしたのか?
鍵となったのは、現在のカエルたちが起こす大量死でした。
一部のカエルたちは気候や食べ物となる虫たちなど条件が恵まれている場合、爆発的な繁殖を起こすことが知られています。
このような爆発的繁殖が起こると、1匹のメスに複数のオスがのしかかり巨大な「交尾球」とよばれるカエル団子が形成されます。
このような状態になるとカエルたちは動きがとれず、中心のメスだけでなく周囲のオスも一緒になって「溺死」したり「過労死」してしまうことが知られています。
そして死亡したカエルはしばらく水面を漂った後に沼底に沈んでいき、パーツのそろった綺麗な化石になった、とのこと。
4500万年前の地層からみつかった大量死したカエルたちは文字通り、激しい性の宴の中で命を散らした儚い存在だったと言えるでしょう。
しかし近年の研究では、死すら乗り越えて生殖を行うカエルたちの存在が報告されています。
セックスでの大量死を乗り越えるネクロフィリア(死姦)戦略
近年に行われた研究では「激しい性の宴での死」すら生殖手段としているカエルたちがいることも報告されています。
2012年にブラジルの国立アマゾン研究所で行われた研究によれば、爆発的繁殖が引き起こした交尾球のせいで「溺死」あるいは「圧死」したメスの死体を上手く刺激することで、卵を体外に排出させ、精子を吹きかけて受精させられるカエルがいることが判明しています。
メスは自分が死んだあともでも卵を吐き出す仕組みを進化させ、オスはその方法を本能のレベルで理解しているのです。
このようなネクロフィリア(死姦)戦略は爆発的繁殖という状態においても粘り強く子孫を残すために有用だったのでしょう。
もしかしたら4500万年前のカエルたちも同様の方法を採用していたのかもしれません。
参考文献
Ancient swamp is sex death trap for fossil frogs
元論文
The skeletal taphonomy of anurans from the Eocene Geiseltal Konservat-Lagerstätte, Germany: insights into the controls on fossil anuran preservation