一部から強い不満と批判があった政府のコロナに関する水際対策が緩和される方向のようです。これは全数把握に伴う事務工数と効率の悪さ、更には「世界で一番感染者が多い国」と指摘される中、「真面目ほど損をする」状況となった中で政府が重い腰をようやく上げ、コロナ対策の全般的な見直しを図る一環となります。

政府のコロナに関する水際対策 いよいよ緩和だが・・・
(画像=Stossi mammot/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

カナダでコロナはどうなっているのか、といえば各自の判断という感じになっています。つまり、「そんな恰好でいると風邪を引くよ」というのと同じで自分の身は自分で守る発想だと思います。

街中にはマスクをする人もいます。傾向としてはアジア人の方が繊細に感じます。例えば中華系スーパーに行けばアジア系の客はほとんどがマスクをしています。ローカルのスーパーに行けば誰もしていない、そんな違いも見て取れます。

抗原検査キットは十分に出回っており、薬局に行って「欲しい」といえば5回分のキットを無料で配っています。だからと言ってもらう人が殺到しているわけでもありません。検査キットが出回り始めた頃は行列になっていて「本日の配布分は終了しました」といった張り紙もありましたが、すっかり落ち着きました。

思うにある程度感染して免疫の壁のようなものが出来ているのだと思います。但し、複数回かかる人もいるし、高齢者で基礎疾患がある方はそれなりに自己防衛をされているということでしょう。

そういう意味では欧米は乗り越えつつある感が強い気がします。過去のコロナ対策を見る限り、欧米は自己管理中心でアジアは政府管理が中心だという違いが明白に出ています。例えば日本で感染者が増えれば「対策はどうするのだ」という声が政府に向かって強く発信されます。

以前も申し上げたと思いますが、日本は江戸時代の士農工商が無くなりましたが、「士」の意識と壁だけが強く残り、「農工商」だけが無くなったイメージがあるのです。なので国民は何かあれば「政府が…」と声を上げるのです。カナダではそういうシーンに出くわしても「政府にそんなに期待しちゃだめだよ、金もないし」とケセラセラ(Que Sera, Sera=なるようになる)的なところがあるのです。

さて、水際対策の緩和ですが、得ている情報のポイントは①入国者数を一日5万人 ②ワクチン3回接種で72時間前までのPCR検査不要 ③観光客は添乗員付きの条件が緩和見込み ④開始時期は9月 が濃厚です。但し、外国人は引き続き査証の取得を要求されます。

今年7月の訪日客数は14万人だとされます。一日2万人の制限でなら本来62万人まで受け入れられたはずです。訪日客とは外国人のことで日本人の往来もあるので直接的比較ができませんが、それでも外国人から日本が避けられているのは確かででしょう。ただ、そこはPCR検査以上に査証をとる手続きが大きいと思います。そこまでして日本に行く人は絞られるということです。

一方、無防備な外国人には来てもらいたくないという声があるのも承知しています。必ず相反する意見が出てくるのは世の常でありますが、ここは政府にそれを託すというより自己防衛の考えを少しでも取り込むしかないのではないかと思います。

2類から5類への見直しの検討も進んでいるようです。2類とは「危険が高い」で結核、鳥インフル、ジフテリアといったものと同類です。コロナが世界中で大流行した頃と比べれば弱毒化しているし、ワクチンなどの対策も拡充しています。あくまでも事務工数の簡略化という点では5類でもよいと思いますが、死亡者数が多いのが気になります。8月はまだ2/3を終えたところで死亡者は5000人を超え、過去最高となっています。

日本の死亡者が比較的多い点は他国と比べて不思議な特徴です。なぜなのでしょうか?日本人ほど病院好き、薬漬けになっている国も少ないと思いますが、ひょっとすると薬に頼り過ぎた結果、自己免疫力や回復力が弱まっているのでしょうか?つまり外敵に弱い、ということです。この辺りは専門家の意見も聞いてみたいところです。

今回のコロナを通じて思ったことは普段からの健康に留意し自己管理をしっかりしていればかかっても悪くならないという点でしょうか?カナダでは誰も自分を守ってくれないという強い気持ちだけ改めて植え付けられたと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年8月24日の記事より転載させていただきました。

文・岡本裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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