AI教師を使った学習はフロー状態を発生させる

AI教師を使った学習はフロー状態を発生させる
Credit:Canva

今回の研究により、AI教師には個別指導の効果をある程度、再現する能力があることが判明しました。

AI教師は単に基本的な説明や問題の提示を繰り返すだけでなく、常に生徒の実力を測定し、学びの速度が速い時にはより高いレベルや関連トピックのに移行する一方で、学びが不十分である場合には、より詳しい説明を行うことが可能になります。

また生徒が学ぶ過程を人間の観察者に評価してもらったところ、コンピューターゲームにみられるのと同じような集中力やフロー状態のようなものがみられたと報告されました。

フロー状態は完全に浸りきっているときにみられる集中形態であり、さまざまな分野のパフォーマンスを向上させる機能があります。

フロー状態は一般に自分の実力と取り組む対象の難易度が一致する場合に起こると考えられており、AI教師が提示する問題が生徒の実力に合致している可能性を示します。

研究者たちは、学習において生徒たちはフロー状態を目指すことはめったにないものの、学習効果を高めるためにも、狙っていくべきであると述べています。

現在、AI技術を活用したAI教師は受験競争が激しいアジア圏において導入が進んでおり、生徒の実力向上に大きな役割を果たすようになってきています。

ただAI教師による個別指導が人間の教師による個別指導を追い越すには、まだ時間がかかるようです。

AI教師は疲れを知らず生徒が望む時間に望むだけ相手をしてくれるという利点もあるものの、その力が発揮されるのは明確な正解がある場合に限られます。

たとえば文学や哲学の分野はAI教師が苦手とする分野となっています。

また現バージョンのAI教師は生徒の実力を推定するのは得意でも、性格や特性を把握する機能は搭載されていません。

個別指導において教師と生徒の個人的な関係は生徒の「欠席率」を減らすにのに大きな役割をはたすことが知られています。

ただAI技術の発展は凄まじく、将来的には、より人間に近いAI教師が作られる可能性があるでしょう。

もしかしたら未来の塾はAIシステムへのアクセス権が主な収入源になっているかもしれませんね。

参考文献
DARPA’s digital tutor: training people to expert level in 16 weeks

元論文
Accelerating Development of Expertise: A Digital Tutor for Navy Technical Training