「iPhoneが一括1円」という価格破壊のような売り出し文句は、今後少なくなっていくかもしれない。8月9日、公正取引委員会は“1円スマホ”といった携帯電話の極端に安い販売が行われている実態について緊急調査を開始したと発表したのだ。何かと独占禁止法の火種になりやすい携帯電話業界だが、1円販売についても取引構造を解明して問題があれば対処していくものと思われる。
“1円スマホ”に公正取引委員会のメスが入る

調査の対象となっているのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社や販売代理店などだ。ヨドバシカメラをはじめとした家電量販店などでは端末をセール価格で提供することがままある。NMPなどさまざまな条件が付加されるが、時には10万円近いiPhoneが一括1万円未満という格安価格で販売されるとあって、その恩恵に預かったことのある人も少なくないだろう。
しかし、公正取引委員会が調査に乗り出したことでこうした“目玉商品”は姿を消していくかもしれない。店舗では一括販売とは別に「数年後に端末を返却する」という条件の残価設定型契約での割引販売が増えているとの情報もある。単純に、7月に入ってから行われたiPhoneそのものの値上げも方向性を変えた要因のひとつだろうが、方法を変えて恒常的に行われている「人気端末の安売り」戦略に、再びメスが入るかたちとなる。
人気端末の安売り、何が問題?

スマホを安く購入できることは一見消費者にメリットがあるように思えるが、実はそうとばかりは言えない。安く購入された人気スマホが転売ヤーによって買い占められれば、純粋にスマホを購入したいユーザーの手に十分渡らなくなる可能性があるのだ。
そんな価格競争の弊害を思うと、サービスの特長を伸ばしたり通信品質の向上に努めることでブランド価値を高めてくれたほうが競争として健全という気もする。例えば7月に起こったKDDIの大規模通信障害では、トラブルに対するクレームは当然あった一方で、障害発生時に迅速な報告が行われた風通しのいい社内環境や、通信技術に精通した上層部の適切な会見が支持を集め「ピンチをチャンスに変える」好事例となった。「返金200円」が発表された際、SNS上では「いらん! エンジニアへの一時金と設備投資に使え!」という愛ある激励も飛んでいたほどだ。
目の前の価格だけでなく、こうしたサービスの安心感でファンがつく景色は見ていて心地よい。KDDIの例は、ブランド選びが価格だけではないという1つの事例となった。「1円スマホ」の限界とKDDIへの消費者の反応を合わせて見た携帯電話各社が、もし価格だけではない競争に重きを置いてくれれば、それはユーザーにとっても大きなメリットとなるはずだ。
参照元:(令和4年8月9日)携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査の開始について【公正取引委員会】
※サムネイル画像(Image:筆者撮影)
文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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