目次
■この地だからできる技の集積が生む道具たち
■ものづくり見学の締めくくりはシェラカップの製造見学
過去2回にわたり紹介してきた、ものづくりの町・燕三条のアウトドアギア製造会社探訪。初回は伝統の職人技に裏打ちされた鉈をつくる「日野浦刃物工房」、そして2回目にはキャンパー御用達のペグ・エリッゼステークを製造する「山谷産業」を紹介した。
今回はキャンプの朝食で活躍するホットサンドメーカーをつくる「杉山金属」、そして多くのブランドの商品をOEM生産する「せきかわ工芸」を訪れた。
■この地だからできる技の集積が生む道具たち
ここ燕三条では、アウトドアばかりか家のキッチンでも大活躍するホットサンドメーカーも作られている。杉山金属はそのトップ企業だ。食パン2枚用各種のほか、「4w1h」ブランドで製造する、1枚を折り畳む小型のソロ用も爆発的な人気を得ている。
基本は家庭用キッチン用具メーカーである。広い敷地には加工の仕方が違う複数の工場を設置している。その中で、鋳造工場はキャンプ需要を受けたホットサンドメーカー製造にフル稼働だ。
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/BCpWDNkbnvyYMGydTWYJaRyJOmUOhKgh/81b396ad-3aca-49e8-81fa-1b21d21c1314.jpg)
型に流し、圧をかけて成形。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/CoXoCeuDxVcYvXkuSEckgVsFpWBRzOAD/427d1f0a-5770-422e-bf58-c9618c9e1401.jpg)
窯で溶けるアルミ。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/tBIxfyfvFeiOECWkzzMGMDeoBRTPPDoG/e1b16ec7-85af-4530-873c-6f48ef105daf.jpg)
表面を一つずつバリ取り。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/MenvfXFWCachSUskIlWEIsDHXmTpSRsH/544a307a-cb60-45b9-9685-370d5e18f54b.jpg)
叩き落とす不要部は、不純物を押し出すために設けている。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
「30年余り作ってきて、アウトドア向けとは全く考えていませんでした。皆さんが見つけてくれたんです」と営業部部長の小川陽介さんは言う。「昨年のピーク時は注文をいただいても半年から1年待ちをお願いすることも……」
アルミのインゴットを溶かし、金型で成型するのは機械だが、調整する人間の目は不可欠だ。そしてその後のバリ取りや表面処理、組み立てなどは皆手作業である。熟練者たちの手はよどみなく動いていく。見ていて気持ち良い。
焼き目のデザインを変えて、大手ブランドのOEM生産を請け負うほか、個人からの1個だけという注文にも応じる。
「100個以下は、金型に流すのではなく切削加工して作ります」
プレス工場ものぞかせてもらった。四角く平らなキューブケトルを作っているのはこちらだ。
「ものを作るのに最短ルートはない。でも、それが面白さでもあります」と小川さん。この仕事が好きだからこそ言える言葉だ。
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/900/qcDyJXykLjNCBvTRPyearruuwmgPuFIJ/ea16e7b7-c27f-4ddb-8623-48debbb70973.jpg)
中間工程での検品も細密に行う。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/GykOEaUSHHHzPFFfWETPqrZcLBZfmnhf/2d1ad9bd-3445-4415-8dad-8b7f4506a2f8.jpg)
「キューブケトル」も定番人気。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
■ものづくり見学の締めくくりはシェラカップの製造見学
最後はシェラカップ造りを訪ねよう。金属加工の伝統技術にヘラ絞りというものがある。回転させた金属板にヘラを押しつけ、3次元に伸ばす方法で、鍋、やかんから航空機やロケットの先端部まで用いられる。機械を使うにしても繊細な微調節が求められる技だ。
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/toLfWZBFnLkEUgabXOtMxSgxDVkwHudY/590fe3b4-f4fa-4842-8301-55188de29c09.jpg)
調理に便利なディッシュやシェラカップ、保温性の高いタンブラー。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
それを一番の得意とするのがせきかわ工芸である。多くの著名ブランドの品をOEM生産するほか、「ART TECH」ブランドで自社オリジナルの製品も手がける。使う素材はステンレス、銅、真鍮などさまざまだが、アウトドアの調理具兼食器としてはやはり、軽くて金属臭がなく、金属アレルギーの人も使えるチタンが主だ。
成形にはスピニングマシンというものを使う。これがすごい。1枚の円形のチタン板を回転軸にセットすると、ローラーが近づき、みるみるうちに立体になる。
「材料の伸びだけで作ります。シェラカップの場合、底の厚みは元の金属板の0.5㎜厚のままで、側面は0.29㎜程度になり、熱伝導率も良くなるんです。しかも1工程で素早く形作れます」と言うのは、苦心を重ねてこの技術を編み出した社長の関川正幸さん。
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/900/razvkhzQlFkArXXlBRtlKUvpYWDaWNdj/ce74410e-24e0-4619-bbac-ec8780eafa11.jpg)
二重構造のマグカップは成形後に溶接する。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/900/MAWwUVichUDWQsrWaTofgwvOkHCoTpfI/4c2f552d-3060-493b-a62b-a8f4c515fa7c.jpg)
成形後の品は洗浄や研磨などに回る。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/900/BBBtozzCNcEftJyAwwXdFvEoHZYwXPoB/eda6675d-d482-4e9b-8839-d5bd965bd16b.jpg)
平らだったチタン板がするするとカップ型になっていく。軸の左の円形のものがローラー。接触部の形状は作るものによって変える。、『男の隠れ家デジタル』より引用)
同じ形状はプレスでも3工程ほど重ねればできる。だがどこも同じ厚さになり、使い勝手に劣る。ローラーの形状、接触距離の調節などは積年の経験あってこそだ。
日本の技は素晴らしい。燕三条の職人たちに深く学ばされた。
【取材協力】
杉山金属
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/400/lnTixtnifGzYdeVKGPrKsRwhGmDqtXHP/d9e5967d-c665-4c0e-9a45-12a0b8fd783c.jpg)
キッチン用鍋類などの企画・製造・販売として1948年に創業。独自のアイデア商品も多く知られる。
新潟県燕市小池3633-10
TEL:0256-63-8125
【取材協力】
せきかわ工芸
![「4w1h」の便利なホットサンドメーカーと軽くて丈夫なチタンカップの製造現場へ](https://cdn.moneytimes.jp/600/900/JXYZAZOeKqtlNBJkLTdoRrMxmLZxfnpw/7464d6a2-0088-4d00-a128-0edc1a66e0a7.jpg)
工業デザイナーだった関川正幸さんが27年前に創業。分業が多い燕三条で職人の一貫生産を旨とする。
新潟県燕市杣木857-2
TEL:0256-63-8951
文/秋川ゆか 写真/島崎信一
提供元・男の隠れ家デジタル
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