コーヒーは愛好家の多い飲み物ですが、なんとなくコーヒーは避けているという人も多いのではないでしょうか?
南オーストラリア大学の研究チームが発表した新しい研究によると、無意識にコーヒーを避ける人は、カフェインの悪影響を受けやすい遺伝子を持っている可能性があると報告しています。
そして、大規模調査の結果、こうした人たちは高血圧になりやすい傾向があると確認されたのです。
この研究は、臨床栄養学の分野の科学雑誌『American Journal of Clinical Nutrition』に2021年3月12日付で発表されています。
目次
あなたはコーヒーが好き? 嫌い?
子どものうちは苦くて嫌いといわれてしまいますが、コーヒーは社会人にとってもっとも普及している飲み物といっても過言ではないでしょう。
苦味が苦手な人にとっても、カフェラテやカプチーノなど、マイルドにしたさまざまな飲み方があり、街中はコーヒーを提供するカフェであふれています。
人はさまざまな理由でコーヒーを飲みます。
疲れたとき、ほっと一息つきたいとき、単に日常生活の一部となっている人もいるでしょう。
ただ、コーヒーにはカフェインが含まれており、これは血圧を高める作用があるため、あまり摂り過ぎていいものではありません。
南オーストラリア大学のエリナ・ヒッポネン教授によると、「人は無意識の内に、血圧の高さに基づいてカフェインを安全なレベルに自己調節している」とようなのです。
そして、この作用は遺伝的なメカニズムの結果なのだといいます。
コーヒーをたくさん飲む人は、ほとんど飲まない人と比較して、カフェインに対する遺伝的な耐性が高い可能性があります。
逆に、コーヒーをあまり飲まない人や、完全に避けている人は、カフェインの悪影響を受けやすい可能性があるのです。
これが何を意味しているかというと、コーヒーを無意識に避けている人は、高血圧になりやすい遺伝子を持っているということです。
飲みたくないのは遺伝子の警告
今回の研究チームは、英国の大規模な遺伝子研究「UK Biobank」のデータを使って、39万人以上の人々の習慣的なコーヒー消費量と、血圧や心拍数のベースラインとを比較しました。
ここでの因果関係の比較には、メンデルのランダム化という解析方法が使用されています。
結果は、コーヒーをあまり飲まない人は、心臓の健康を害している確率が高いことが示されたのです。
日本では、国民の3分の1にあたる4300万人近くが高血圧といわれています。そしてほとんどの人は、自分の高血圧に無自覚である場合が多いといいます。
高血圧は脳卒中や心不全、慢性腎臓病など健康状態に対するさまざまな危険因子となります。
「体があなたに、余分な一杯のコーヒーを飲まないようにいっているなら、そこにはおそらく理由があります。
あなたの体の声に耳を傾けてください。それはあなたが思っている以上に、あなたの健康に対する重要なサインなのです」
ヒッポネン教授はそのように述べています。
今回の研究は、遺伝的な要因が、思いのほか体の健康状態と強くリンクして、栄養分の摂取に影響していることを示しています。
欲しいときの飲むのはもちろん問題ないでしょうが、気がすすまないのに習慣だからと続けてしまっているものは、コーヒーに限らず注意が必要かもしれません。
提供元・ナゾロジー
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