投資家が解説。こんな人が、老後にお金で困る人である!
画像は筆者撮影による(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

「お金に困る老後」と「悠々自適な老後」、その分かれ目とは。老後を幸せに送れるか否かは、現役時代の収入は関係ない。家が資産家かどうかも関係ない。幸せな老後を送っている人は、自分の「なりたい老後」をイメージして、そのための準備をしてきた人。資産運用から住宅購入、健康管理や人間関係の作り方など、今からできる方法とは?

今回は、田口智隆さんの『金持ち老後、貧乏老人』(水王舎)を紹介したい。主な著書として、『11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』『お金の不安が消えるノート』(フォレスト出版)、『お金が貯まらない人の悪い習慣39』(マガジンハウス)など、35冊を刊行累計80万部を超えるお金本のベストセラー作家でもある。

老後にお金で困る人には共通点がある

――老後に「お金で困る人」「悠々自適に暮らせる人」はどこが違うのか。田口さんは、老後にお金で困る人には、ある共通点があると指摘する。

「実は現役時代の収入の多い少ないは、それほど老後にお金で困る人になるか、ならないかには影響しません。現役時代の収入が平均年収と比べて低かったとしても、生活レベルが収入に合わせたものであれば、リタイアした後もそれほどお金に困ることにはならないからです。老後にお金で困る人というのは、現役時代の生活のレベルを保とうとして、老後の収人がそれに追いつかない状態のことをさします。」(田口さん)

「なぜかといえば、現役時代に、準備することを怠っていたからなのです。老後の収入や支出をイメージして老後にお金で困らないようにしようというのは、別に、億万長者や資産家を目指そうと言っているわけではありません。」(同)

――田口さんは、老後にお金に困らないというのは、現役時代から、自分が65歳や70歳になった時に、年金はどれくらいもらえるだろうか、自分たちの毎月の生活費はどれくらいになるのだろうということを、自分でしっかりと調べていた人だと解説する。

「自分たちが理想とする老後生活に年金だけでは不足するのであれば、足りない分を貯蓄として用意しておこうと準備をしていた人たちです。ところがまだ大丈夫だと思って準備していない人が半分もいます。調査会社のライフメディアが、30歳から59歳の現役世代男女を対象に老後の不安についてアンケートをとっています。」(田口さん)

「まず、75%の人が老後に不安を感じていることがわかっています。『老後の資金』『年金制度』『病気やケガ』『老後の住環境』『老後の仕事』『親の介護』『自身や配偶者の介護』。若い世代を含むアンケートなので、こういう結果になったのでしょう。」(同)

――現役世代は、年金の受給額が今の年金受給者よりは確実に下回ることが予想されており、老後対策は喫緊の課題でもある。あなたの「理想とする老後生活」は決まっているだろうか?早急にシミュレーションする必要がありそうだ。

老後のシミュレーションをしよう

各種世論調査を見ると、ある傾向がみられる。平成25年に生命保険文化センターが行ったアンケート「公的年金に対する考え方」では、60代男性で年金だけで生活をまかなえると答えた人が37.4%に対し、30代男性では11.6%。30代女性にいたっては、6.4%しかおらず、いかに公的年金があてにされていないかが明らかになっている。

しかし、老後の生活に不安があるなら、しっかり準備を始めているのかといえば、そうでもないようである。前述、ライフメディアの調査によれば、「あなたは老後のために貯金をしていますか?」という問いに対して、「年金がなくても生活していける程度は蓄えている」と答えたのは、4.7%、「年金と合わせて生活できる程度は蓄えている」と答えた人は、43.3%、「ほとんど蓄えていない」が、52%となっている。

田口さんは、「老後にお金に困らないために、現役時代から準備することが必要」と主張する。「資産形成」には時間が掛かる。「いまはそれどころじゃない!」と思っているアナタ!まずは、きっちりとシミュレーションすることをおすすめしたい。

尾藤克之
コラムニスト

文・尾藤 克之

文・尾藤 克之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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