Point
・人を賢くさせる遺伝子が食欲不振や自閉症、双極性障害などに関連していることが判明
・研究チームは百万人近くの被験者に遺伝子重複の検査を実施
・その結果、複数の精神疾患に遺伝子の共通性があることなどがわかった

これまでも「賢い遺伝子」を持つ人に自閉症患者が多いとした研究はありましたが、今回他の精神障害に関しても、共通する遺伝子が見つかったようです。

マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の共同研究で、人の認知機能に関係する遺伝子が、食欲不振や自閉症、双極性障害などにつながっていることを明らかにしました。また、その遺伝子はアルツハイマー病を防ぐものであることもわかりました。

Analysis of shared heritability in common disorders of the brain

この研究では、精神疾患患者26万人以上と健常者約78万人のデータを用いて様々な精神疾患における共通する遺伝子を検査しました。また、教育などの17項目の質問を行い、それらと脳障害の関係性を120万人近くから調査しました。

調査の結果、異なるタイプの精神疾患、特にADHDと双極性障害、うつ病、精神分裂症では、共通の遺伝子が関係していることが判明しました。また、食欲不振と強迫性障害、強迫性障害とトゥレット障害においても相関関係が見られるとのこと。

自閉症やADHDなどの精神疾患に共通する遺伝子を発見
(画像=『ナゾロジー』より引用)

対照的に、パーキンソン病や多発性硬化症のような神経障害と精神疾患の間に繋がりは見られませんでした。また、偏頭痛に関しては、精神疾患のADHDやうつ病、トゥレット障害と遺伝的な関連があることがわかりました。

興味深いことに、研究チームは自閉症や双極性障害などの精神疾患の遺伝的要因が、幼少期の認知機能に関係していることを発見。また、アルツハイマー病や脳卒中などの神経障害と、認知機能の計測結果との間には負の相関関係が見られました。これは認知機能に関する遺伝子が神経障害を防ぐことができることを示しています。

この研究の論文共著者であるベンジャミン・ニーラ氏は、「脳障害について認識を改める必要があります。もし、異なる障害に共通する遺伝の影響やパターンを暴くことができれば、障害の根源的な要因を理解できるでしょう」と述べました。

via: DailyMail / translated & text by ヨッシー

提供元・ナゾロジー

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