ネナシカズラ(Cuscutaまたはdodder)は他の植物に寄生して水分や栄養を奪う寄生植物として知られています。
中国科学院の植物学者ジャンチャン・ウー氏ら研究チームは8月31日「PNAS」誌に、このネナシカズラが宿主植物の開花時期を「盗聴」して一緒に開花していると報告しました。
ネナシカズラは宿主植物の開花タンパク質を読み取って、自分にとって一番都合のいいタイミングで開花していたのです。
このような巧妙な方法を取るネナシカズラの生態とは、一体どのようなものなのでしょうか。
目次
ネナシカズラは寄生する
ネナシカズラは宿主の開花タイミングを狙っている
ネナシカズラは宿主の開花シグナルを盗聴し同期する
ネナシカズラは寄生する

(画像=Bogdan/wikipedia、『ナゾロジー』より引用)
ネナシカズラは100~170種ほどのつる性寄生植物であり、温帯から熱帯にかけて世界中に広く分布しています。
この植物は他の植物と多くの点で異なっています。通常の植物は葉と地中に張り巡らした根から栄養や水分を得ますが、ネナシカズラはそれらの代わりに吸器(寄生根)を使って宿主から栄養と水分を奪うのです。
そのためネナシカズラは、その名の通り根を張る必要がありません。
地表に落ちたネナシカズラの種子は最初にその場で発芽し固定根を地中に伸ばします。ところが成長して他の植物に巻き付いて寄生できると、その固定根を枯らして無くしてしまうのです。
また葉はあるものの非常に小さく、葉緑素を持たず光合成しないものがほとんどです。そのため黄色や赤色の紐やツタのような外見をしています。
このように、ネナシカズラは生きていくためのほとんどのエネルギーを宿主から得ているわけですが、それは開花と種子生産プロセスも例外ではありません。