私は大手企業に勤める技術系サラリーマンなので、単なるニュースウォッチャーとしてベーシックインカムの報道を見ているだけですが、以前から疑問に思っていることがあります。
それは、「なぜ誰も導入に向けたロードマップを提示しないのか」ということです。
ベーシックインカムは今日、国会で決議すれば、明日から導入できるようなものではないはずです。
来るべき「ベーシックインカムのある社会」は、現在の「ベーシックインカムのない社会」とは相当に異なり、そこに至るまでの道筋の案を示してもらえなければ、「実現可能性のある制度」であるという認識のもとで議論することができません。
どの制度を残し、どの制度を廃止するのか、あるいは、既存の仕組みと新しい仕組みをどのよな順序で入れ替えていくのかについて具体的に示されないので、誰も将来実現する制度という認識を持てずに、議論が前に進まないことになります。
経済学者や社会学者でそのようなことに真剣に考えておられる研究者の方はいらっしゃるのでしょうか? なぜそのような方はテレビに出て(Youtubeでもいいです)、自らのプランを語ってくれないのでしょうか?
私は「誰も真剣にベーシックインカムの導入について考えていない」と思っていますが、本当のところはどうなのでしょうか?
竹中平蔵氏もテレビ局から「何かアイデアを提示してほしい」と言われて、「それなら手垢のついたベーシックインカムについて語ってみるか」と思っただけで、本当に「ベーシックインカムのある社会」が来ることが望ましいとは思っていないように思われます。
つまり、ベーシックインカムというのは、「テレビ局がネタ切れしたときに、隙間を埋めるためのネタ」というのが、私の認識です。
ちなみに、現在の私自身の身の回りで考えれば、大学生の息子への仕送りがベーシックインカムに置き換わって、学費の一部を補助してやるような感じになるように思われます。このような観点で見れば、「経済的な理由で大学進学をあきらめる」という人は大幅に減るかもしれません。それがいいことかどうかは別ですが・・・。
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井上孝之
若いころにベーシックインカムがあれば、ロックミュージシャンになる可能性を追求したかもしれない技術系サラリーマン
文・井上孝之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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