フクロウは、自然界で類まれな能力を持つ鳥類の一つです。

首が左右に270度ずつ回転したり、音を出さずに飛翔できたり、パラボラアンテナのように音を立体的に集音する聴覚まで持っています。

中でも、暗闇を見通す「夜目」は驚異的です。

ドイツのマックス・プランク鳥類学研究所はこのほど、フクロウの目の中のDNAが暗闇での視力を高めるように配置されていることを新たに発見しました。

そのあり方は、夜行性の霊長類に見られるものと近似しているとのことです。

研究は、10月10日付けで『Genome Biology and Evolution』に掲載されています。

目次

  1. フクロウの目が”夜行性の霊長類”に似ている
  2. 鳥類の中でも特別な存在

フクロウの目が”夜行性の霊長類”に似ている

鳥類の多くは昼行性ですが、フクロウは夜間でも狩りができる数少ない鳥類です。

フクロウの目は非常に大きく、筒型になって頭蓋骨に固定されているので、私たちの「眼球」のようにクルクル動かせません。そのため、首がよく回るようになっています。

研究チームは、フクロウの視力の特殊性を解明するため、20種の鳥類 (1羽のフクロウを含む)の遺伝子情報を調べました。

すると予想通り、フクロウの知覚分野で他の鳥類とは異なる遺伝的な変異が見られています。

フクロウの目は「暗視」を高める特殊なDNA配置を持っていた! 「夜行性の霊長類に近い進化」
(画像=フクロウの目は「夜行性の霊長類」に近い / Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

特に、視覚に関する32の遺伝子に変化があり、これらはフクロウの網膜細胞内でより多くの光を捉えられるように配置されていたのです。

このDNAの特殊な配置が、一種のレンズや視力向上因子として機能している可能性があります。

研究チームは「こうした特徴は他の鳥類では見られず、夜行性の霊長類に近いもの」と指摘しました。

さらにフクロウの瞳には、光の強弱に応じた明暗を識別する「根幹細胞」が多く見られ、これも夜間視力を高める一因と見られます。

鳥類の中でも特別な存在

このような遺伝的変異は、鳥類の中でもフクロウにのみ見られるもので、彼らの祖先が独特な進化の道筋をたどってきたことを示唆します。

フクロウは昼行性の祖先から進化したとされますが、どこかで「夜狩り」の能力を高める方向に舵を切ったようです。

夜目だけでなく、優れた聴覚や飛翔時の消音効果などは、暗闇での狩りに非常に役立ちます。

フクロウの目は「暗視」を高める特殊なDNA配置を持っていた! 「夜行性の霊長類に近い進化」
(画像=フクロウ / Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

研究チームは「今回の調査では、網膜細胞内のDNAの配置が夜目を高める可能性が示されただけで、それぞれのDNAの詳しい機能までは分かっていません。

今後この点を解明することで、フクロウがどのように進化上の優位性を獲得したのかが分かるでしょう」と述べています。

フクロウは古来より「知恵の象徴」とされてきましたが、真に注目すべきは身体能力の高さかもしれません。

参考文献
sciencealert

提供元・ナゾロジー

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