筋量を増やしたいなら栄養についてしっかり考える必要がある。中でも大切なのはタンパク質だ。タンパク質は筋肉の素になる栄養素であり、アスリートでなくてもそれは知っているはずだ。ただ、タンパク質なら何でもいいかというとそうではない。品質はもちろん、摂取するタイミングや摂取量によって結果は大きく変わってくる。
実践的なタンパク質の話をする前に、まずはいくつかの基本を確認しておこう。タンパク質は筋肉の素になるものだが、タンパク質そのものはアミノ酸によって構成されている。タンパク質を摂取すると、それはアミノ酸にまで分解されてから体の中に吸収されていく。吸収されたアミノ酸には数え切れないほど数多くの役割がある。日々、正常な身体機能を維持するためにアミノ酸は体内で消費される。もちろん筋発達にも使われるし、体脂肪の燃焼を促す酵素をつくり出すためにもアミノ酸は消費される。だからこそ、毎食必ず適量のタンパク質を摂取することが不可欠なのである。
具体的にどれだけのタンパク質なのか。カロリーのように目安になる量を算出する計算式はあるのか。これについて、20年以上にわたって多くの著名なボディビルダーたちに食事のアドバイスを続けてきたジェイムス・クリスチャンソンは次のように述べている。「一般的に、体重1㎏あたり2.2〜2.75gのタンパク質を摂取することが推奨されている。これに則って計算するなら、自分の体重×2.2〜2.75=1日に必要なタンパク質量ということになる。例えば1日に5回の食事を取るなら、算出した数値を5回で割れば、1回あたりの食事で摂るタンパク質の量が分かる」
では、1日に摂取する総カロリーのうち、どれだけの割合をタンパク質が占めていればいいのか。これについては30%という数字をベースにしている人たちが多いようだ。つまり、1日に2800キロカロリーを摂っているトレーニーなら、そのうちの30%に相当する840キロカロリーをタンパク質から摂るということだ。タンパク質1gは4キロカロリーなので、840キロカロリーのタンパク質は210g。1日5回の食事をするなら、1回あたりの食事で42gのタンパク質を摂ればいいということが分かる。ここまで計算ができるのだから、食事メニューはかなりのレベルまで厳密に管理していくことが可能だということが分かるはずだ。
筋肉のサイズアップとタンパク質の関係は、もちろんタンパク質量の条件だけが満たされればいいというわけではない。摂取するタイミングもまたサイズアップの結果を大きく左右する。ニック・ソーンダー博士は、高強度トレーニングを開始する30分前に炭水化物と組み合わせてタンパク質を摂ることを勧めている。ここで摂取するタンパク質はMRP(ミールリプレイスメント)やプロテインシェイクのような流動食でもいいが、調理された卵や鶏胸肉などでも問題はないということだ。
ワークアウト前にしっかりした食事をしておくと、ワークアウト後の疲労回復能力に大きな差が出る。疲労回復能力が高いというのは、結果的に筋肥大を促すことになる。さらにソーンダー博士はこう述べている。「ワークアウトの前後にきちんと食事をすることは、次回のワークアウトのために準備を整えることでもある」と。
つまり、「ワークアウト前の食事」は、これから始めるワークアウトのための食事ではなく、ワークアウト後の疲労回復能力を高めるための食事だということ。そして、「ワークアウト後の食事」は次回のワークアウトに備えるための食事のことだ。筋発達を実現するには、目先のことだけを考えていてはダメなのだ。何事も常に先を見越して進めていくことが継続的で確実な筋発達をもたらすのである。タンパク質の食材として勧められるのは、魚、脂身のない牛肉、バイソン肉、鶏の胸肉、ターキー、低脂肪の乳製品、大豆、卵、プロテインシェイク、プロテインバーなどがある。これらの食材は常にキッチンに用意しておいたほうがいいだろう。
文・Jenny Westerkamp, RD, CSSD 翻訳・ゴンズプロダクション
提供元・FITNESS LOVE
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