カーボンニュートラルに向けた環境対策が世界的に加速する昨今、今年よりヤマハ発動機から電動バイク「E01」を使って実際に日本を含む6つの国・地域で走らせる実証実験を開始する。今回は実験に先駆けて行われたメディア向け試乗会に参加してきたので、実際に見て、聞いて、走らせてきた「E01」を詳しく紹介していこう。

目次
【ヤマハの「E01」メディア向け試乗会に参加】
【環境に優しいだけじゃない!走って楽しいEVバイク】
 ・未来の乗り物に対する期待と不安
 ・電動化×バイクづくりのノウハウが凝縮
 ・守備範囲の広い充電環境

【ヤマハの「E01」メディア向け試乗会に参加】

【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)

連日続いた春の陽気がウソのように、試乗会当日はあいにくの雨となった。しかし、多くの二輪報道関係者で賑わう試乗会場は既に熱気に包まれており、最新の電動バイク「E01」がいかに注目されているかを物語っているようだった。

ヤマハ発動機の電動バイクの歴史は古く、1991年に発表した「FROG」を皮切りに、電動スクーター「Passol」や某TV番組で人気リアクション芸人が日本各地を走ることで一躍有名となった「E-Vino」など、これまでの開発で培った電動技術とバイクづくりのノウハウを活かし、利便性と快適性能を両立させながら、まるでガソリン車のような走行時のフィーリングにも力を注いだ全く新しい電動バイク「E01」が誕生したのだ。

そして、この電動バイクを使ったグローバル実証実験では、個人ユーザーやシェアリング、配送業などへのリースを予定しており、日本をはじめとした気候や使われ方の異なる6つの国・地域で走行させることでより深い知見を得ることを目的としている。国内では個人ユーザー向けに7月から3ヶ月間、全国で100台の有料リース開始を予定しており、その抽選応募が早くも来月から始まるとのことで、興味がある方はぜひ記事末のURLから公式HPをチェックしてみてほしい。

こうした実証実験をバイクメーカーが積極的に行なっていくことによって、まだまだ黎明期の電動バイクが近い未来に日常的な乗り物となった暁には、コミューターとしての実用性だけでなく、バイクとしての面白さもさらに洗練された次世代の乗り物となるに違いない。

【環境に優しいだけじゃない!走って楽しいEVバイク】

未来の乗り物に対する期待と不安

年々燃料費が上がり、持続可能な環境づくりも話題となっている近年、二酸化炭素を全く排出しない乗り物の需要が上がるのに比例して、どんどん電動化されていく乗り物へは期待だけでなく、そこには新しい乗り物に対する不安も持ち合わせているというのが本音だろう。今回、私が実際に「E01」に乗って感じたガソリン車との違いや注目したいポイントなどを紹介しよう。

【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)

雨で湿った空気の中、スマートキーとすることでキーを差す必要のないメインスイッチをONに合わせると、視認性の高い縦型レイアウトのマルチファンクションメーターが素早く立ち上がる。ブレーキを握ってハンドルボックスのスイッチを押したら、スロットルを捻るだけで軽々と、そして非常に静かに走り出していく。ガソリン車と違い、セルスターターを回してエンジンを始動する必要がないというのは新鮮だ。

試乗コースには大きく回りこむオーバルコースにスラロームが用意されていたのだが、回生ブレーキだけでコーナーやスラロームをクリアしてみたり、しっかり加速した後にきっちりブレーキも使って曲がるような乗り方もしてみたのだが、ハンドリングの良さも相まってボリューム感のある車体ながら軽快な走りが本当に気持ち良い。また、3つの走行モード(パワーモード、標準モード、エコモード)が用意されており、バッテリー残量や目的地までの走行距離などのシーンに合わせて選ぶことも可能となっている。

二輪車専用に開発した高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーターの生み出す力強いトルクは、同クラスのガソリン車に比べてバッテリーを搭載することで約2〜30kgほど重くなった車体でもその重さを感じないくらい低速からしっかりと加速していき、スロットルを戻した時の回生ブレーキもガソリン車のエンジンブレーキのように自然で、全くギクシャクしない。多少乱暴にスロットルを捻っても「危ない」と感じるような加速はせず、出力に波がない特性となっているためとても扱いやすい。
さらに、一定の速度から加減速も行ってみたのだが、電動バイクで感じやすい「ON」と「OFF」の境目が絶妙なセッティングとなっていて、これならガソリン車から移行してきた人も違和感は少ないはずだ。

電動化×バイクづくりのノウハウが凝縮

【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=灯火類は全てLEDとなっており、スタイリッシュで洗練された外観を演出、『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=縦型レイアウトの多機能メーターが搭載され、シンプルにまとまったコックピットデザイン、『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=逞しいリアアームはツインショックで受け止めている、『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=フロントフォークとフェンダーを繋ぐように装着されたカバーが近未来的な雰囲気、『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=足つき性の良いステップボードはフットポジションも選びやすい、『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=スマートキーのメインスイッチはハンドルロック解除、シートロック解除も可能、『Moto Megane』より引用)

走りの部分だけでなく、日々の使い勝手を考えてフロントにレイアウトされた充電コネクターやフロントに用意された12V電源付き(右側のみ)のグローブボックス、バッテリーを着脱式でなく固定式とすることでシート下のトランクスペースも確保するなど、使用シーンが想像できる実用性の高さにも注目したい。近未来的でクリーンな雰囲気を演出する車体デザインは白と黒でシンプルにまとまっており、爽やかなブルーの差し色がなんとも映える。操作しやすいスイッチ類やスポーツバイク然としたアルミダイキャスト製リアアームにタンデムステップの上質な作り込みまで、まさにこれまでの二輪車生産技術に加えて、電動アシスト自転車や電動バイクといった様々な電動技術から世界最高峰レースのMotoGPをはじめとするレースシーン参戦で得たフィードバックまで、ヤマハ発動機の電動技術やバイクづくりのノウハウが凝縮した一台となっている。

守備範囲の広い充電環境

【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)
【ヤマハ】未来すぎる電動バイク「E01」と一緒に新時代へ走り出そう!
(画像=『Moto Megane』より引用)

燃料となるガソリンの代わりに動力源となるバッテリーを搭載した「E01」は、100(航続可能距離)×100(最高速度)を想定して開発され、自社で開発・組み立てた車両固定式バッテリーとすることで大容量・高出力を実現し、満充電での走行距離は104km(60km/h定地走行テスト値)。ざっくり片道約3~40km圏内であれば通勤・通学などの都市間の移動では充分なスペックとなっており、充電器についてもディーラーやシェアリングなどに配置予定の「急速充電器(写真左)」に加えて、自宅などに設置可能な「普通充電器(写真右)」、シート下のトランクスペースに入れて持ち運ぶことも可能な「ポータブル充電器(写真下)」の3つのタイプを展開しており、それぞれ満充電までの時間が約1時間(0%→90%)、約5時間(0%→100%)、約14時間(0%→100%)と使用環境に合わせて充電器を選ぶことができる。
こうした充電インフラの充実は既存のガソリン車からの代替えや日常生活への導入に際してかなり現実的だと感じるポイントだ。