魚油をサプリメントとして摂取 している人はどれくらいいるだろうか。あるいは魚料理を定期的に食べたり、おやつにクルミを食べたり、フラックスシードやチアシー ドを食べたり、あるいはそのオイ ルを意識して摂取したりしているだろうか。これらはいずれもオメガ 必須脂肪酸であり、肉体改造に役立つという共通点を持っている。これらの質問にすべてノーと答えた人は、これを機会に試してみるといいだろう。なぜなら、オメガ脂肪酸を体に取り込むことは、 健康のため、そして体づくりを促進するためにプラスになるからだ。
オメガ3脂肪酸の種類
オメガ3脂肪酸は、その構造から多不飽和脂肪酸に属する物質だ。 健康に役立つ働きを数多く持っているが、残念ながらオメガ を体内で生成することができない。つまり、オメガの働きを利用するためには、この物質を含む食材を食べて外から取り入れるしかないのだ。オメガ3脂肪酸を細かく見ていくとつのタイプに分けることができる。最初の2つはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)で知られる物質で、これらのオメガ3脂肪酸は主に魚(サーモンや種々のマグロ、イワシ、サバ、ニシンなど)に多く含有されていて、サプリメントでは魚油として販売されたりしてい る。そして3つめは植物由来のALA(αリノレン酸)だ。ALAは クルミ、フラクシード、大豆、キャ ノーラ油などに多く含まれている。
オメガ3脂肪酸に関連した4つの研究結果
オメガ3脂肪酸に関連した研究や実験はこれまでに数多く行われていて、体にさまざまなプラスの 働きを示すことが分かってきている。今回は、それらの中から代表的な4つを紹介したい。いずれも アスリートに役立つことばかりなので、ぜひオメガ3脂肪酸の力を確認しておこう。
疲労回復の促進
日々のスケジュールの中でワークアウトは優先順位の上位にあるという人なら、ぜひオメガ3を意識して摂るようにしよう。サプリメントを利用してもいいし、魚料理を積極的に食べるようにしてもいい。オメガ3は健康づくりに役立つばかりか、ワークアウトで疲労した筋肉の回復を促す働きもあるからだ。 運動を行うと、それが高強度であればなおさら筋肉には大きなストレスがかかる。それが筋肉を傷つけ、疲労をもたらすわけだが、 筋発達とはその傷を修復し、疲労を回復させる段階で起きる。だとすれば、修復や回復のためにできることは積極的にやるべきであり、 そうすることが筋発達を促進することにつながるのだ。 ケリー・ジュリス氏の執筆した 記事が『ジャーナル・オブ・スポー ツサイエンス&メディスン』誌に掲載されていて、「オメガ3が体 に供給されていると、運動後の疲労度が少なくて済む。これは特にハードな運動を行うアスリートにとって有用なことであろう」という内容であった。 どうしてそのような効果がオメガ3にあるのか。それは、オメガ3は抗炎症作用や抗侵害効果(痛 みを遮断する働き)を体内で発揮することができるからだ。特に限界まで追い込むようなワークアウトを行うトレーニーにとっては、これらの働きは筋肉の疲労回復を促し、筋発達に大きく影響してくる。体づくりを本気で望むなら、 オメガ3は十分に利用できる物質 であると言えるのだ。
筋力&筋機能の向上
筋量を増やすためには、筋力を向上させることは重要だ。筋力が強くなれば高重量を扱うことができ、それが筋肉に大きな刺激となるからだ。筋力を伸ばすには体にエネルギーをしっかり蓄え、筋肉の機能が最大限に発揮される状態を保っておく必要がある。その手伝いをしてくれるのがオメガ3脂肪酸なのだ。オメガ3がもたらす筋肉への働きは、これまで行われてきた実験から、あらゆる年代で効果を発揮することが分かっている。『ヨーロピアン・ソサイエティ・フォー・ クリニカル・ニュートリション& メタボリズム』が報告したところによると、最近の研究で、若い人 にも中高年者にもオメガ3脂肪酸は筋量の増加をもたらし、運動機能を向上させるという結果が得られたのだそうだ。
運動を行うだけでも筋肉の発達はある程度までは得られるが、さらにオメガ3の摂取を加えること で筋肉の機能向上までもが得られ るという点は見逃せない。『ジャーナル・オブ・クリニカルサイエンス』によると、オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取した場合としなかった場合の被験者の筋肉を比較したところ、前者の筋中タンパク質濃度と筋線維のサイズは後者よりも大きいことが分かった。このことから、研究者たちはオメガ3脂肪酸にはアナボリックな働きをもたらす作用が備わっていると結論づけた。
関節の保護
高重量を扱うトレーニングを続けると、関節への負担は増していく。生涯にわたりトレーニングを続けたいなら関節を保護しながらトレーニングを行うべきだろう。 ケリ ー・ジ ュリス氏によると、高強度でネガティブ動作を行うと関 節に膨大なストレスがかかり、それによって関節の可動域が狭められてしまう危険性が高まるのだが、 オメガ3脂肪酸を十分に摂ってい ると正常な可動域を守ることがで きるのだそうだ。 この理由は、オメガ3脂肪酸には抗炎症作用や痛みを取り除く働きが備わっているからだと考えることができる。本来、これらの働きは筋肉では確認されていることだが、関節にも同様に作用することが推測できるのだ。ピッツバーグ大学医療センターの整形外科部によると、オメガ脂肪酸は以下の つの働きによって関節を守ることができるのだそうだ。
●オメガ3脂肪酸の抗炎症作用が関節の炎症を抑制して保護する。
●オメガ3脂肪酸には運動中の血流量を増加させる働きがある。 血流量が増加すると筋中に蓄積される老廃物の除去、栄養の運搬率が高まるわけだが、実は刺激を受けている筋肉に近い関節にも同様のことが起きる。つまり、血液中に溶け込んでいる酸素や栄養素が関節にも運ばれ、その結果、関節のダメージが改善されやすくなる。
●天然の脂質は関節に貯蔵される。 つまり、魚由来のオメガ3脂肪 酸のサプリメントなどは関節中に取り込まれ、貯蔵され、関節組織の健康維持のために使われる。
体脂肪減量の促進
かっこいい体を強調するには、やはり体脂肪は少ないほうがいい。 皮下脂肪が減れば筋肉は実際のサイズより大きく見えるし、デフィニションがはっきりと浮かび上がるので迫力が増す。 アスリートもできるだけ体脂肪を減らすために脂肪食を制限したりするが、減量を促進したいならオメガ3脂肪酸はむしろ積極的に摂取したほうがいい。このことはすでに多くのオメガ3脂肪酸の実験からも明らかになってい る。オメガ3脂肪酸には以下のような利点があるので減量期間中もぜひ積極的に摂るようにしてほしい。
●空腹感が弱まり、逆に満腹感が持続する。
●インスリンの感受性が高められるため、インスリンが過剰に分泌されない。そのため、体脂肪の貯蔵が抑えられたり、逆に脂肪燃焼を促すことにつながる。
●代謝を高めるため減量が進みやすい。
魚油を使った実験
カナダの研究者がオメガ3脂肪酸のメリットについて次のようにまとめているので紹介しよう。ちなみにこの研究者は、12週間にわたり高齢女性たちに魚油のサプリメントを摂取してもらい以下の事柄を調べた。
●運動中&安静時の代謝率と酸化率
●安静時の血圧
●運動中&安静時の心拍数
●体組成
●筋力
●身体機能
実験の結果、被験者の安静時の 代謝率は著しく向上し、運動中の エネルギー消費量も顕著な増加が見られたそうだ。また、安静時の脂肪燃焼率が運動中よりも高い数値を得た被験者もいた。被験者たちの筋量は実験前に比べて4%増加 し、筋機能も7%向上した。比較対象となったプラシーボ群は、いずれの項目についても増加は見られなかった。 このことから、オメガ3脂肪酸 は体づくり、健康づくりにプラスの働きをもたらすと言えるだろう。
摂取量の目安
オメガ3を利用するなら、どれくらいの量を日々摂取すればいいのだろうか。アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、14歳以上の男性は1日1.6g、14歳以上の女性(ただし、妊婦と授乳中の女性は除く)は1日1.1gを目安に摂取するといいそうだ。 サプリメントのラベルには推奨摂取量が記載されている。しかし、たいていの場合、推奨量は少なめ に設定されている。あくまでも目安だが、推奨量を摂取するなら週2回程度の魚料理を食べたり、あるいは推奨量+30g程度のクルミ を軽食に食べたり、推奨量+小さじ2杯程度のフラクシード(またはチアシード)をプロテインシェ イクに混ぜるなどして積極的にオメガ3脂肪酸を体に取り込むようにすることを勧めたい。
本気で肉体改造を目指しているなら、オメガ3脂肪酸はぜひ日頃から定期的に摂取してほしい。オメガ3脂肪酸を積極的に摂るよう になって関節が楽に感じられたり、 疲労回復が少し早くなった気がするという人は多いのだ。そしてそれが筋発達を促し健康維持に役立 つのだとすれば、プラスになってもマイナスになることはないはずである。これを機にオメガ3脂肪酸の摂取を意識してみてはいかがだろうか。
by Jenny Westerkamp, RD, CSSD
提供元・FITNESS LOVE
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