オセロの盤面で相手の石を何個もパタパタと気持ちよくひっくり返すように、状況の流れを一撃で一変させる「ゲームチェンジャー」。

自動車にもゲームチェンジャーと言えるクルマはいくつかあり、文字通りそのクルマから、そのメーカー、あるいは日本中、世界中のクルマの勢力図を一変させる強烈な一撃となってきました。

今回は、古い自動車ファンからは保守的でつまらないメーカー、ブームになってから後追いするような印象を受けがちなトヨタにも実は存在する、強烈なゲームチェンジャーを紹介しましょう。

目次
クレスタ(初代前期X50系・1980年)
ハリアー(初代・1997年)

クレスタ(初代前期X50系・1980年)

後のセルシオへの源流とも言える、高級感あふれた元祖ハイソカー

「アイツはゲームチェンジャーだ」車業界の勢力図を一気に塗り替えたトヨタ車たち【推し車】
(画像=トヨタ クレスタ スーパールーセント(初代前期X50系)、『MOBY』より引用)

自動車の歴史に大きな影響を与えたトヨタ車といえば、定番は初代トヨペットクラウンRS、あるいは初代セルシオを思い浮かべる人は多いと思われ、特に後者は世界中の高級車づくりへ与えた影響が絶大です。

ただし、初代クラウン以来の歴史を踏まえ、初代セルシオで世界を変えるに至る「ゲームチェンジャー」として推したいのが、初代クレスタ。

新設計のプラットフォームやエンジン、豪華装備で固めた新型4ドアハードトップセダンは、スポーティかつ高級感にあふれ、新世代の若い富裕層にアピールして大ヒットとなる…という構図は、日本国内と世界という違いこそあれ、後のセルシオ(レクサスLS)そのもの。

高品質スケールアップ版の初代セルシオで世界の変革に挑み、ベンツやBMWを変えた歴史の源流には、まず日本を変革した初代クレスタというゲームチェンジャーが、欠かせませんでした。

ハリアー(初代・1997年)

世界中で猫も杓子もSUVを作るようになった、自動車史の大転換点

「アイツはゲームチェンジャーだ」車業界の勢力図を一気に塗り替えたトヨタ車たち【推し車】
(画像=トヨタ ハリアー(初代)、『MOBY』より引用)

乗用車チックな内外装のクロカンSUVや、悪路走破性能はソコソコでも、乗用車の快適性を実現したSUVの歴史は案外古く、トヨタも1994年の初代RAV4で乗用車ベースのクロスオーバーSUVをいち早く発売していました。

しかし、旧来のジープ的なルックスから完全に決別、スポーティで高級感あふれ、高級ホテルなどフォーマルな場に乗り付けても全く違和感がない、むしろ泥ひとつの汚れも許されないような、クーペルックのラグジュアリーSUV、初代ハリアーは全くの別格です。

このクルマを境に、「SUV=多少ナリは良くとも基本は泥臭いジープ型乗用車」という価値観は崩壊し、スポーツカーを含めあらゆる乗用車の特徴を付与可能な、新世代のベーシックモデル、それもEV化が容易というオマケつき。

今や世界中の自動車メーカーが作るSUVの歴史において、初代ハリアーは中興の祖といえるゲームチェンジャーだったのです。

アルファード(初代・2002年)

でかい、広い、アグレッシブ、お手頃でセダンに代わるフラッグシップへ

「アイツはゲームチェンジャーだ」車業界の勢力図を一気に塗り替えたトヨタ車たち【推し車】
(画像=トヨタ アルファードG(初代・トヨペット店扱いがアルファードG、トヨタビスタ店→合併後はネッツ店扱いがアルファードV)、『MOBY』より引用)

日本のミニバン史は、各種1BOXワゴンに始まり、スペース効率に優れた初代エスティマ、ロールーフでスタイリッシュな初代ホンダ オデッセイ、アグレッシブ&豪華内外装の初代日産 エルグランド、FF低床型の初代ホンダ ステップワゴンを経て1990年代を終えます。

しかし2000年代に入ると、「大きいだけでなく広くてスペース効率に優れた低床FF型、(当時としては)アグレッシブなフロントマスク、大排気量V6か、経済性重視の直4が選べるパワーユニット」、これがミニバンユーザー憧れの決定版が初代アルファードでした。

ファミリーカーだけでなく、センチュリーやレクサスLSに代わり黒塗り公用車としても使われ、セダンに代わる新世代のフラッグシップ、高価にも関わらず販売ランキング上位常連、全てのミニバンの流れを自分に引き寄せるほどの、強烈なゲームチェンジャーです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY

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