11月、ニューロテック企業OpenBCIは、没入型VRヘッドセット「Galea」の作成を発表し、現在開発中です。
さらに最近、アメリカのゲーム会社Valve Corporationの責任者ゲイブ・ニューウェル氏が、OpenBCIとのパートナーシップを明らかにし、Galeaとブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)の将来について語りました。
彼によると、Galeaは脳波を読み取ってゲームに反映させることができるとのこと。
またBCIの進展速度は驚異的であり、今後は私たちの理解を超えたゲーム体験が可能になるだろうと主張しました。
目次
脳波を受け取る没入型VRヘッドセット
目や耳に依存しないインターフェースの将来
脳波を受け取る没入型VRヘッドセット

開発中のヘッドセット「Galea」は、VRヘッドセットやARヘッドセットに接続できるよう設計されており、装着者の生体データをリアルタイムで検出できます。
生体データは、脳波、眼電図、筋電図、皮膚電気活動、フォトプレチスモグラフィセンサーなどから得られ、脳の働き、眼球運動、筋肉、皮膚、心拍数などの様々な要素をデータ化します。
これにより、装着者が感じている「幸福・不安・興奮・憂鬱・注意力・関心レベル」を測定し、個人の感情に合わせた没入型コンテンツの作成が可能になります。
例えば、プレイヤーがゲームに退屈していることにシステムが気付くなら、自動で難易度が上がるといったことも可能でしょう。
つまり個々の感じ方に合わせて、誰もが興奮または感動し、熱中できるゲームの開発に寄与するのです。
目や耳に依存しないインターフェースの将来

現在、私たちとゲーム機やパソコンは、人間がもつ「肉のデバイス」で繋がっていると言えます。
コンピュータの情報は「目」や「耳」で取り入れ、脳に伝わっています。そして脳の情報は「指」でコントローラーを操作し、コンピュータに伝えていますね。
つまり、私たちとコンピュータの間には、目や耳や手足という肉の周辺機器があるのです。
しかし、開発中のヘッドセットGaleaがそうであるように、近年私たちの周りには、脳とマシンが直接情報交換する「ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)」が登場し始めています。
コンピュータが脳波を読み取り、コンピュータから脳に直接情報を与えるのです。

そしてニューウェル氏は、目や耳などに依存しないBCIの発展が、現実が提供するよりもはるかに高度な経験を与えると主張。
つまり、これまでは光や音という限られた方法でしか脳に情報や刺激が与えられていませんでしたが、BCIによって制限のない情報や刺激が与えられるだろうというのです。
さて、ニューウェル氏の主張が将来実現するかは分かりませんが、BCIであるGaleaがゲーム体験の新時代に一歩足を踏み入れていることは確かでしょう。
脳とコンピュータのダイレクトなやり取りがどこまで反映されるか分かりませんが、これまでにない体験を期待したいものです。
参考文献
Gabe Newell says brain-computer interface tech will allow video games far beyond what human ‘meat peripherals’ can comprehend
提供元・ナゾロジー
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