目次
■山形に行ったことある?
■地の食材を生かした創作イタリアン「アル・ケッチァーノ本店」へ
・オーナーシェフ・奥田政行さんが生み出す至高の料理
・県内産食材へのこだわり
・農家・料理人・地域を活性化させるベースとなる
個人的な話で恐縮なのだが、筆者は先日30歳となった。
だからといって大した変化はないが、少しばかりお金にも余裕が出てきた年齢である。そして、「せっかく30代になったのだから、少し贅沢してみよう」と思い立ち、一人きりのグルメ旅を計画した。
今回訪れた山形県鶴岡市は、2014年に「ユネスコ食文化創造都市」に認定された食の都。まさに30歳のスタートを彩る絶好の場所ではないか。
食欲のままに訪れた地でどのような出会いがあったのか、みなさんの旅の参考にしてもらいたい。
■山形に行ったことある?
読者のみなさんは山形を訪れたことがあるだろうか。東京から山形県の鶴岡駅までは、新幹線と特急に乗れば約4時間、飛行機であれば3時間弱でアクセスできる。
今回は陸路を楽しむため、JR上越新幹線・とき348号で「新潟駅」まで向かい、JR羽越本線・いなほ14号に乗り換えて「鶴岡駅」へ。


道中で特に印象的だったのは、「村上駅」を過ぎたあたりから。日本海のすぐそばを走行するため、一気に旅情を高めてくれるかのようだ。

車窓からの景色を楽しんでいるうちに日々の喧騒を忘れ、気づけば鶴岡駅に到着していた。
■地の食材を生かした創作イタリアン「アル・ケッチァーノ本店」へ

“最高に美味い飯”を心ゆくまで堪能するため、アル・ケッチァーノを訪ねた。ここでは、庄内エリアをはじめ、山形県内でとれた山海の幸をふんだんに使ったイタリアンが楽しめる。
なお、オープンは2003年のことだが、2022年7月7日に鶴岡市遠賀原へ新築移転したという。
オーナーシェフ・奥田政行さんが生み出す至高の料理
初めに言っておくと、アル・ケッチァーノで出される料理は安くはない。全3コースのうち、もっとも高い15,000円(税込)のフルコースを選んだが、値段以上の満足感が得られたことを伝えておきたい。









アル・ケッチァーノの料理は、“味付けは塩かオリーブオイルのみ”というメニューも少なくない。オーナーシェフ・奥田政行さんに話を聞くと、「あえて味を一つ足りなくすることで『自分ならこうする』ってお客さんも考えながら料理を楽しめる」と言う。
また、食材同士の相性を考慮しているのも、奥田さんが手がける料理の特徴だ。

例えば、山伏ポークと一緒にスイカが出てきたのには驚かされた。しかし、ポーク、スイカの順に食べることで程よい塩味や甘味、瑞々しさが見事に調和する。
県内産食材へのこだわり


「ユネスコ食文化創造都市」の認定を受けた鶴岡市は、だだちゃ豆や民田なす、温海かぶなど、地域特有の食材が豊富にとれる。
ただ、農家によって育て方が異なるほか、場所によって土壌や水質が異なるため、作物の味や香りに違いが生まれるそうだ。
アル・ケッチァーノで仕入れている食材は、奥田シェフが厳選したものばかり。野菜をはじめ、ラムや鶏卵などもシェフが自らの舌で吟味している。
農家・料理人・地域を活性化させるベースとなる

アル・ケッチァーノは、新築移転に伴い「未来型レストランファクトリー」として生まれ変わった。
これは、鶴岡エリアの食材を活用することで、生産者や料理、地域の活性化を図るというものだ。生産者は自身が作った食材を持ち込むことができ、食材の加工から販売までを同施設で行える。
さらに、同じ敷地内にある「アル・ケッチァーノ・アカデミー」には、カウンター席で奥田シェフと直接会話しながら食事が楽しめるシェフズキッチンを用意。ラボラトリーキッチンも併設されており、山形県の食材を使った料理教室「シェフ塾」を開催することで、料理人の育成を行う予定だと言う。