科学者たちは、広大な宇宙の中で「地球のような惑星」を探し続けており、これまでに5000以上の太陽系外惑星が発見されてきました。
しかしNASAによると、この探査作業は「干し草の山で針を探すようなもの」です。
そのため、より効果的な太陽系外惑星の探査システムが必要とされています。
そこでNASAは、地上望遠鏡の観測をサポートする「スターシェード」を開発予定です。
これは宇宙に浮かぶ巨大なスクリーンであり、観測の際に邪魔になる恒星の光を遮る役割があります。
現在、NASAはスターシェード開発のためのアイデアコンテストを開催しており、上位5つのアイデアには、賞金7000ドル(約95万円)が与えられます。
目次
太陽系外惑星の観測に必要なのは「宇宙の日傘」
宇宙の日傘「スターシェード」の設計アイデアコンテスト開催
太陽系外惑星の観測に必要なのは「宇宙の日傘」
これまでに発見された太陽系外惑星のほとんどは、直接観測されたものではなく、間接的な手法で確認されたものです。
例えば、トランジット法では、惑星が恒星の前を横切るときの一時的な減光(食)によって、惑星の存在を検出します。
またドップラー法では、公転する惑星の引力によって生じる恒星の微小なふらつきから、惑星の存在を検出します。
これらの組み合わせは、太陽系外惑星を発見するための効果的な方法です。
しかし最近では、超大型望遠鏡の登場により、太陽系外惑星を直接観測できるようになりました。
この方法であれば、得られた光から惑星表面にある鉱物や海、大気の存在、植生などのさまざまなデータが得られ、科学者たちがより確信をもって「居住可能かどうか」判断できるようになるでしょう。
しかし望遠鏡で直接観測するには、惑星よりも非常に明るい恒星の光を隠さなければいけません。
つまり、「宇宙の日傘」が必要なのです。
そこでNASAは以前から、恒星の光を覆い隠す宇宙の巨大スクリーン「スターシェード」と、現在建設中の超大型地上望遠鏡「巨大マゼラン望遠鏡」などを組み合わせた「ハイブリッド天文台(HOEE:Hybrid Observatory for Earth-like Exoplanets)」を計画してきました。
宇宙に大きなスクリーンを浮遊させて恒星の光を遮り、地上の超高性能な望遠鏡で直接太陽系外惑星を観測しようというのです。
現在、地上の次世代型望遠鏡の建設計画は既に始まっています。
宇宙の日傘であるスターシェードの開発にも取り掛からなければいけませんね。
ではこのスターシェードは、どのようなスペックを必要とするのでしょうか?
宇宙の日傘「スターシェード」の設計アイデアコンテスト開催
宇宙の巨大スクリーン「スターシェード」は、「大きな傘」もしくは「花びら」のような見た目をしています。
宇宙に打ち上げられたあとに展開し、望遠鏡に連動して恒星の光を遮るのです。
この計画自体は以前から存在していましたが、現在は新しい設計アイデアを必要としています。
なぜなら当初、スターシェードと連携するのは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のような宇宙にある望遠鏡だけの予定だったからです。
そのために必要なスターシェードの大きさは直径50mでした。
NASAによると、「50mレベルのスターシェードを打ち上げることは可能」とのこと。
しかし計画に変更があり、地球の次世代型地上望遠鏡とも連動させることになったわけです。
そのためには、直径100mのスターシェードにスケールアップすることになりました。
とはいえ従来の設計のままスケールアップしても、打ち上げ可能な重量と体積をオーバーしてしまいます。
そこでNASAは、スターシェードの質量を10分の1に削減し、ロケットの中にコンパクトに収まり、しかも宇宙でスムーズに展開できる新しい設計アイデアをコンテスト形式で募集することにしました。
上位5件のアイデアには賞金7000ドル(約95万円)が約束されており、コンテスト締め切りは2022年8月22日となっています。
画期的なアイデアをお持ちの方は、このコンテストに参加してみてはいかがでしょうか?
参考文献
Hybrid Observatory for Earth-like Exoplanets (HOEE)
NASA Seeks Public’s Designs to Throw Shade in Space
NASA Challenge: Ultralight Starshade Structural Design
NASA Wants Your Help Designing a Starshade to Observe Exoplanets
提供元・ナゾロジー
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