訪日観光、多くが個人旅行解禁待ち 行動管理が足かせ 潮流に逆行
(画像=『トラベルジャーナル』より引用)

訪日外客数は入国者数制限など水際対策が緩和された4月以降、10万人台に回復した。ただ、観光目的の新規入国は解禁された6月10日から同30日までで252人。国が義務付けている入国者健康確認システムへの事前申請に基づくと、7月19日時点の観光目的の入国希望者は7月9057人、8月4333人、9月以降1190人と低調だ。1日2万人の入国者数上限やビザ取得義務など厳しい規制が障壁となっており、なかでも団体旅行しか認めていないことが回復の足を引っ張っている。

 日本政府観光局(JNTO)の中山理映子理事は、「コロナ禍の前からFIT(個人旅行者)がすでに主流。すべての海外事務所から、自由に旅程を組みたいという市場の声が聞こえてくる」と現状を語る。事実、19年の訪日外国人の団体ツアー参加は全体の2割にとどまる。「個人旅行の解禁が待ち望まれている状況」(同)だ。

 日本政府は観光目的の入国について、主要国の中でも異例の添乗員が同行するパッケージツアーに限定している。旅行会社が受け入れ責任者となり、日本滞在中の行動を管理する。訪日観光再開後の市場はリピーターから動き出すと予想されているが、リピーターであるほど自由行動が定着。やむを得ず、タイなど他国に行き先を変更するケースも出ているという。

 個人旅行の解禁はまだ見えてこないが、JNTOは発表のタイミングに照準を合わせた施策の準備を進める。航空路線の復便に対する支援策として、5月末以降、日系航空会社と連携したプロモーションを展開し、旅行先として想起させるイメージを訴求してきた。これを販売促進へとステージを移し、航空会社の予約サイトに誘導するなど、需要獲得を図る考えだ。

提供元・トラベルジャーナル

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