ありふれた物理法則の「裏の顔」が明らかになる

AIに物理法則を学習させたら、未知の物理変数で現象を表現し始めた!
(画像=AIが人間に認識できない変数をみつけ新たな物理法則を発見するようになれば、ノーベル物理学賞はAIに総なめされるかもしれない / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究によって、私たち人類が唯一無二と信じていたいくつかの物理法則が、複数の表現方法の1つでしかない可能性が示されました。

研究者たちは、もし知的なエイリアンがいたら、私たちとは異なる概念に基づく変数を用いて、異なる物理法則の表現をしている可能性があると述べています。

また今回の研究に用いられた手法は、単純な物体の運動だけでなく他のあらゆる種類のデータソースにも適用できる、とのこと。

そのため新たなAIは、未知の物理現象の解明にも役立つ可能性があります。

これまで開発された「物理現象を自力で発見するAI」の多くは、変数そのものが事前に設定されているときのみ、観測結果から物理法則を抽出できるタイプであるため、変数そのものが不明な未知の物理現象に対しては十分に働かない可能性がありました。

しかし観察結果から変数そのものを自力で検出できるAIがあれば、人間の科学者の理解を助ける有用なツールとなると考えられます。

研究者たちは今後、AIによって認識された変数と既知の物理量で表現するための、別のAIを開発していくとのこと。

もしかしたら100年後の未来には、ノーベル賞がAI搭載のロボットに総なめされているかもしれませんね。


参考文献

Columbia Engineering Roboticists Discover Alternative Physics

元論文

Automated discovery of fundamental variables hidden in experimental data


提供元・ナゾロジー

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