土星の第2衛星エンケラドゥスは太陽系の中で、地球以外で生命が存在する可能性のある有力候補のひとつです。
エンケラドゥスは宇宙に浮かぶ雪玉のように、全体が氷で覆われています。
この氷は調査の結果、南極地域ではかなり新しいことがわかっていて、エンケラドゥスは地下に巨大な液体の海を持つこと、また熱的な地質活動を続けていることなどが示唆されていました。
そして今回、科学雑誌『Icarus』に発表された研究では、探査機カッシーニの赤外線画像データを元に、エンケラドゥスの北半球にも新鮮な氷で覆われた領域があると報告しているのです。
これはこの衛星の北半球にも熱水噴出孔が存在する可能性を示しており、ますますこの衛星の生命の可能性を高めるものとなっています。
目次
氷に包まれた月の熱い地下
カッシーニが明らかにしたエンケラドゥスの詳細赤外線画像
地質学的には今も若いエンケラドゥス
氷に包まれた月の熱い地下
エンケラドゥスの南極地域の地下には、以前記事にもしたようにタイガーストライプと呼ばれる巨大な4つの平行な裂け目があるとわかっています。
ここから100を超える間欠泉が、探査機カッシーニの調査から発見されていて、そこから塩水が噴出しエンケラドゥスの表面に新しい氷を生み出し、さらに水蒸気を宇宙に飛ばしていました。
このような氷の月エンケラドゥスの内部に地熱活動が存在する理由は、土星と月の潮汐力によるものだと考えられています。重力の力がエンケラドゥスを引っ張って伸ばし、内部を加熱させているのです。
このため、エンケラドゥスの南極地下は加熱された状態で、さらに液体の水を溜め込んだ海まで存在していると考えられていました。
しかし、それは南極地域だけに限らなかったようです。
カッシーニが13年間に渡って調査したデータを解析した結果、エンケラドゥスには地球規模の内部活動が行われている可能性が示唆されたのです。