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ミトコンドリアDNAはエネルギー生産を支配している

ミトコンドリアDNAはエネルギー生産を支配している

ミトコンドリアDNAが「ヒトの身長の高さや寿命」などに関連していると明らかに
(画像=ミトコンドリアは酸素呼吸によりエネルギーを作り出す燃焼炉である / Credit:Canva,『ナゾロジー』より 引用)

なぜ少量のミトコンドリアDNAが私たちの健康に大きくかかわるのか?

研究者たちはその原因を、ミトコンドリアDNAが担っている役割のためだと推測しました。

ミトコンドリアのDNAのほとんどは呼吸とエネルギー生産にかかわる遺伝子をコードしているため、わずかな量でも細胞や臓器の機能に大きな影響を与えられると考えたのです。

また今回の研究では、ミトコンドリアDNAと核内DNA(通常の遺伝子)の関係性が調べられました。

生殖が行われるとき、精子内部のミトコンドリアは受精卵に引き継がれないため、次世代に伝わるミトコンドリアは全て卵子由来の母系となり、個人の核内DNAとは本質的に異なる遺伝の仕方をすると考えられていました。

しかし研究者たちが両者の関係を調べたところ、特にスコットランド・ウェールズ・ノーサンブリアの被験者において、核内DNAとミトコンドリアDNAの遺伝パターンに共通点があることが示されました。

この結果は、本来独立して遺伝するハズの2つのDNAが、何らかの原因で遺伝パターンをリンクさせていることを示します。

研究者たちはこの現象について、子どもが受け継いだミトコンドリアDNAは、父親から受け継いだ核内DNAとの適合性があると考えています。

つまり特定のミトコンドリアDNAにとって、相性がいい核内DNAと悪い核内DNAがいるということです。

そしてこの相性は、個人の健康や生理機能に微妙な影響を与え、進化的な有利不利をうみだしていたと考えられます。