A.夜光塗料にトリチウムを採用している印
19世紀末期からはじまったボーア戦争をきっかけに使われたとされるミリタリーウオッチ。
その後の第1次、第2次世界大戦の果てに戦争が近代化していき、時間を管理する時計の必要性が格段に増していったのだが、そこで求められたのが耐久性や視認性といった実用性の高さだ。
ミリタリーウオッチは極限の状況下においてより正確な時刻を求めるべく発達したため、文字盤のデザインやインデックスなどが非常にシンプルなデザインでまとめられている。
その実用性を高める意匠のひとつが、この”Tマーク”である。
Tとはトリチウム(tritium)の略で、外部からの光源を必要とせず、常に自然に発光する自発光型の塗料である。
戦争時の夜間においても、判読性を高めるとして1960年代から針やインデックスに採用されていたもので、この文字盤のTマークがトリチウムの使用を表しているのだ。
なおトリチウムは90年代頃まで長年使用されていたが、人体に影響がないという基準である、25マイクロキュリー以下とはいえ放射線を発する物質を使用していたことで健康への影響が危惧されたため、徐々に使用されなくなっていった。
文◎松本由紀(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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