大人たちが思春期の少年少女をサポートするのに大切なこととは?

ルドルフ氏は、「友情に関する価値観をより柔軟に発展させることが大切」だと指摘します。

なぜなら、これらの友情には少なからずメリットとデメリットがあるからです。

例えば、少女が友人に親密さを強く求めるなら、共感性と感情における社会的能力が向上し、感情的な苦痛から身を守れるでしょう。

しかし、親密さを重視するあまり互いに過度に干渉し合い、かえって感情的な苦痛を増大させる恐れもあります。

同様に少年も、友人との楽しみや喜びを強く求めることで、社会性が増し、よりポジティブになれます。

しかし、親密さなどを犠牲にして一時的な楽しみばかりを求めてしまうなら、少年はストレス要因に立ち向かうのではなく、それを無視して娯楽に逃げるようになってしまうでしょう。

確かに男女で異なる友情を見分けることは大切ですが、極端になると不都合が生じてくる可能性があります。

思春期の少年少女が求める友情には男女差があった
(画像=大人たちは少年少女に友情に関する適切な価値観を教えてあげるべき / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

そのためルドルフ氏は、次のようにアドバイスしています。

「両親や教師、臨床医など、子供の社会化に携わる大人たちは、若者が自分の価値観に合った友人関係を探し、作る方法を教えるべきです。

そして同時に、それぞれの友情の利点と落とし穴を理解できるよう助けることで、友人関係を改善させてあげられます」

もちろん今回の研究はかなりアメリカ人だけを対象とした小規模なものなので、人種や文化によって違いが生じるかもしれません。

研究チームは、その点も含め、今後子供たちの発達をどのように促進できるか、さらなる研究が必要だと考えています。


参考文献

Boys and girls have different expectations about friendship, and these gender differences increase during adolescence

元論文

Gender Differences in Friendship Values: Intensification at Adolescence


提供元・ナゾロジー

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