トレーニングしているわりには腕が太くならない、バランス的に腕が弱いなど、悩みを感じているトレーニーも多いのではなかろうか。ここでは鈴木雅選手が腕トレに関する疑問をQ&A 形式で解説。初級者~上級者まで、段階的に腕のトレーニングを紐解いていく。
取材・文:藤本かずまさ
二頭筋の幅、高さがほしいです
握り方が重要になってきます
「フロントのダブルバイなどで腕を内側から見たときは二頭筋の短頭、バックのダブルバイなどで外側から見たときは長頭が重要になってきます。まずはそのどちらが弱いかを把握する必要がありますが、トレーニングでは短頭、長頭ともに『握り方』が重要になってきます。
短頭も長頭も起始部が肩甲骨にあり肩関節をまたいでいるため、その動きには肩関節が関わっています。肩関節が伸展している胸を張ったような状態では、短頭も長頭も収縮はしません。その状態のままカール動作をすると肘だけが曲がり、主に刺激されるのは上腕筋になります。
ですが、肩をすぼめるようにして行うことで、二頭筋は収縮しやすくなります。だから、肩関節を意識することです。
次に握り方です。親指を強く握ると長頭、親指を楽にすると短頭に効きやすくなります。
サムレスグリップは、あまりお勧めしません。手首が返ってしまい、二頭筋の肘のほうに刺激が入りますが、力こぶには入りません。また手首を返すと、前腕の橈骨筋にもっとも負荷がかかることになります」
アウトラインを強化したいです
外側頭、長頭それぞれの仕組みを覚えて取り組んだほうがいいでしょう
「ボディビルのリラックスポーズなどで前から見たときに重要となるのは三頭筋の外側頭、ダブルバイなどのポーズを取ったときに映えるのは長頭になります。
三頭筋には外側頭、長頭、内側頭と三つの頭があり、そのそれぞれの仕組みも覚えておいたほうがいいでしょう。外側頭と内側頭は肘関節のみをまたいだ筋肉です。
一方、長頭は肩甲骨、肩、肘をまたいでいます。
外側頭は肘を動かすことによって作用します。外側頭を狙いたいときはプッシュ動作で肘を曲げ伸ばしするだけで効かせることができます。
長頭の場合は肩関節の伸展と肘関節の屈曲をしないとストレッチしません。収縮させるには、肩関節を屈曲、肘関節を伸展させます。つまり、プッシュではなく、エクステンションの動作になります。
外側頭はプッシュ動作、長頭はエクステンション動作、このポイントを押さえておかないと、三頭筋のなかでも発達する箇所、しない箇所が出てきます。特に肩関節が硬い人は肩が伸展しないので、長頭が弱いケースが多いです。肩関節の柔軟性にも気を配ったほうがいいでしょう。
三頭筋はライイングエクステンションで肘を痛める人が多いです。最初にストレッチ系種目を持ってきて肘を壊したという話はよく聞きます。エクステンション動作の種目は2種目め、3種目めに持ってくるのがいいでしょう。
鈴木 雅
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。
提供元・FITNESS LOVE
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