大規模な螺旋を描くフィラメント状構造

宇宙で最大の「自転構造」がみつかる
(画像=宇宙フィラメントに対するアーティストイメージ。フィラメントの中に無数の銀河団が存在している。フィラメントの赤と青はそれぞれ赤方偏移、青方偏移を示している。 / Credit: AIP/ A. Khalatyan/ J. Fohlmeister、『ナゾロジー』より引用)

これは今回の発見を示したイメージ画像です。

フィラメントの中に無数の銀河団が描かれていて、一番手前に描かれたフィラメントは赤と青の2色に塗られています。

この2色は光のドップラー効果を表していて、銀河団の地球に対する動きを表現しています。

光は波なので、音と同じようにドップラー効果を起こします。

私たち向かって動く物体の光は波長が縮んで青に近づき(青方偏移)、私たちから遠ざかる物体の光は波長が伸びて赤に近づきます(赤方偏移)。

宇宙で最大の「自転構造」がみつかる
(画像=光のドップラー効果。近づく物体は青に、遠ざかる物体は赤に光の波長が近づいていく。 / Credit:Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

フィラメントを観測したとき、銀河団の動きは、まさに片方が近づき、片方は遠ざかるような螺旋を描いて回転する特性を見せたのです。

それはほぼ毎秒100キロメートルの速さで回転していました。

宇宙を支配する回転の源が、このフィラメントの回転であるのかどうか、なぜフィラメントが回転するのか、それはまだ明らかではありません。

しかし、これだけ巨大な構造さえもが宇宙では回転しているという事実は、初めての発見です。

フィラメント状構造は、初期宇宙の物質の密度の差異が拡大して出来上がったものです。

初期宇宙自体が回転していたという事実はありません。つまりフィラメントは構造が形成される過程で、なぜか螺旋に回転をはじめたことになります。

それは一体いかなる理由によるものなのでしょうか?

銀河の回転が、このフィラメントの巨大な回転に影響されていることは確かです。

宇宙の存在が回転する謎。その秘密がここには隠されているのかもしれません。

しかし、その理由が明らかになるのは、まだ先の話になるでしょう。


参考文献

Discovery of the largest rotation in the universe(AIP)

strands of galaxies in the cosmic web appear to be spinning(NewScientist)

元論文

Possible observational evidence for cosmic filament spin


提供元・ナゾロジー

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