新エサ・美緑の特徴
美緑を使用した武蔵の池・実釣で半日でしたが、いい釣りをされてましたね。やはりと言うかカラツンは少ないし、両ダンゴに比べて型が断然よかった。あれはやはり両トロロの実力ですか? それとも美緑の成せる業でしょうか?
伊藤 さとし
「どっちってことはないよね。そもそも釣況が幸いにもマッチしてくれたんだよ」
そんなご謙遜を(笑)。でもそんなありきたりの答えではインパクトがないので、あらためて美緑の魅力と言うか特徴などを紹介してください。
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伊藤 さとし
「まずは両トロロ専用麩ってことでしょう。トロロ昆布(以下・コブ)の特製を研究して、それに合うように開発されたのだからマッチングが素晴らしい。両トロロのベースエサとして、新たな指標となったよね」
釣りエサの総合メーカーであるマルキユーゆえに、すでに研究済みのコブ(この場合、極上とろろハード)を自社が所有している。それに合わせればいいのだから、いい製品が出てきて当然と言えば当然ですよね。
伊藤 さとし
「そうなんだよね。広く一般にも売られている釣り専用ではない、たとえば食用コブも対象にしたら正直きりがない。それにコブって製品の均一性を保つのがとても厄介な素材なんだよ。苦労話も開発チームのスタッフからさんざん聞かされてきたしね。でも食用ではなく釣り専用とすることで、一定の均一性を確保できた。これはコブの世界では画期的なことなんだよ」
当日に現場作りが可能
コブの均一性が担保されれば、おのずと専用麩も開発しやすいのは道理ですから、確かにマルキユーの強みとも言える部分ですね。ではそのような経緯があって新しく世に送り出された新エサ・美緑ですが、最大の特徴は何ですか?
伊藤 さとし
「現場作りが可能になった点かな」
現場作りって? 釣りエサは何でも現場(釣り場)で作るものではないんですか? まさか仕事をさぼって会社の用務室で作るのですか(笑)。
伊藤 さとし
「あれ、知らないの? 両トロロの基エサって今までだと前日の夜にでも仕込んで、それをクーラーボックスとかに入れて釣り場に持参するのが通例なんだよ」
えっ? そうなんですか
伊藤 さとし
「ったく、勉強不足だぁ(笑)」
そんな面倒なエサだったんですか。だったら時間のない人には厳しいエサですね。
伊藤 さとし
「それがコブになじませやすい美緑を使うことによって、当日の釣り場で作れるようになったんだよ。これが最大の特徴だね」
ちなみに、なぜ今までは前日に作っていたのですか?
伊藤 さとし
「麩材がコブになじむまでに時間を要したんだよね。まあ一日とかそこまでのレベルではないんだけど、できれば数時間はそのまま放置させておきたかった。となると現場作りでは朝イチからエサ打ちできないって話になる」
なるほど。確かにそうですね。それに面倒だ。
伊藤 さとし
「そこを改善して、すぐに使えるようにしたのが美緑なんだよね。ただし現場での保管は、従来どおりクーラーボックスなどの熱害が起きない環境でお願いしたいけどね」
コブは熱に弱い。そういうことですね。
伊藤 さとし
「そうなんだよね。繊維がダレてコブ本来の性能が失われてしまっては元も子もないからね」
すごく大きな特徴でもありますがコブファンにとっては、楽しみが一つ減ってしまったのでは?
伊藤 さとし
「べつに前日から仕込むのをノーと言ってるわけじゃないよ。時間が経っても熱害さえ与えなければコブの性能はキープされるから」
ハリ付けしやすい
現場作りが可能になったことのほかに特徴はないんですか?
伊藤 さとし
「あれ? ちょっと代打ちしてた時に感じなかったかな。ハリ付けしやすくなってるはずなんだけどなぁ」
うーん……、よくわかりませんでした。
伊藤 さとし
「でも不慣れな記者さんでもハリ付けできてたじゃない。つまりね、ヌルヌル感はあるけど、ちゃんと指から離れてくれるんだよね。だからハリ付けがしやすい」
なるほど。確かにコブド素人の私でもハリ付けできました!
伊藤 さとし
「裏書きに手離れと表記されているんだけど、要はペタッと指にまとわりつく感覚を美緑を使うことで減少させることに成功したんだよね。これはすごい武器だよ。だって手離れがよければ、それだけコブを引っ張らないからハリ軸に残りやすいからね」
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確かに。そうでなくとも両トロロの場合はハリ軸に引っ掛ける(下側から引き抜く)ようにしますから、手離れが悪いとそれが抵抗になって、ハリに残る量が少なくなってしまいますからね。
伊藤 さとし
「これならコブ独特のヌルッとした感じが苦手な人でもハリ付けできると思うんだよね。まあヌル感がまったくないわけじゃないんだけどね」
ところで美緑のパッケージ裏書きには「繊維を切らずに……」と表記されてますね。これってどういうことですか?
伊藤 さとし
「普通に作ればトロロの繊維が切られないってことだよね。でも強くこすり付けるように練ったら、いくら美緑でも切れてしまうよ。まあ、そのへんのところは次回の作り方編で詳細に解説するから待っててね」
次回も「両トロロをやってみよう」です。
<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>
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武蔵の池
提供元・TSURINEWS
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